建設現場では資機材調達や協力会社選定こそが、安全衛生や現場の環境、そして品質を確保するための大きな鍵になると考えられます。
そのためにも総括安全衛生管理者を選任することが必要ですが、常時使用する労働者数が100人以上の建設業では選任しなければならないとされています。
そこで、建設業で選任が必要となる「総括安全衛生管理者」の役割について解説していきます。
「総括安全衛生管理者」とは、事業を実施する上で統括的な管理をする人です。
工場長や作業所長など立場や役職名称に関係なく、事業場での事業実施について実質的に統括管理できる権限や責任のある人を指しています。
総括安全衛生管理者の主な役割は次の2つです。
・配下管理者に対する指揮
・安全衛生に関する統括管理
それぞれの役割について説明していきます。
「配下管理者」とは、安全管理・衛生管理・技術的事項など管理する人ですが、統括安全衛生管理者はこの配下管理者に対し安全衛生に関する指揮を行います。
総括安全衛生管理者は、安全衛生に関する次の6つの管理を行います。
・労働者の危険または健康障害を防止する措置に関する管理
・労働者の安全または衛生のための教育実施に関する管理
・健康診断実施や健康保持・増進のための措置に関する管理
・労働災害の原因調査や再発防止対策に関する管理
・安全衛生に関する方針表明に関する管理
・労働安全衛生法に規定されている危険性または有害性などの調査やその結果に基づいた措置に関する管理
・安全衛生に関する計画作成・実施・評価・改善に関する管理
統括安全衛生責任者は、労働災害を未然に防ぐための現場の安全面を統括する担当者のことです。
広い業種で安全衛生上の全般に関する統括管理を行う立場であり、建設工事の現場でも複数の事業者や職人が混在する場所として、労災を防ぐ役割を果たします。
総括安全衛生管理者は、事業場で実質的に統括管理する権限や責任を有する方から選ぶことが必要になるため、たとえば作業所長や工場長などの肩書にとらわれず選任することが必要になります。
選任した総括安全衛生管理者がやむを得ない事由などで職務を行うことができない場合には、代理者を選任することも必要です。
なお、総括安全衛生管理者の選任は、選任すべき事由発生日から14日以内に行わなければならず、選任後は指定様式の書類を所轄の労働基準監督署に提出することを忘れないようにしてください。