建設工事業情報ラボConstruction Business Information Lab

建設業の死亡災害の高い比率を占める墜落による事故を減少させるために

2018.10.10
分類:その他
建設業は、他の業種よりも多く死亡災害が発生している状況です。 それでも労働災害死亡者数は年々減少傾向にはあるのですが、中でも墜落による死亡災害は毎年40%前後という高い比率を占めるため、企業でも事故が発生しない取り組みが大切です。

墜落による事故を減少させるために

墜落による事故は、既に組み上がった足場上で作業を行っている時、もしくは移動中などに多く発生しています。また、足場の組立て作業や解体作業中にも起きることが多いようです。 このような足場からの墜落事故が多く発生する事態を重くみた厚生労働省は、平成21年6月に労働安全衛生規則を改正して、足場や作業構台からの墜落・転落防止措置などを見直ししました。

事故防止対策を強化するための特別教育実施が必要

労働安全衛生法の規定により、事業者は危険または有害な業務で労働者を就かせる場合、業務に関する安全または衛生のための特別の教育を実施しなければならないとされています。 そして、今回、足場からの墜落事故を防ぐ対策を強化するため、この特別教育実施が必要な業務の中に、足場の組立て、解体または変更作業に係る業務が追加されました。

特別教育の内容とは?

では実際、どのような内容の特別教育を労働者に対して実施すればよいのでしょう。 規定されている学科教育の内容は次のとおりです。 ・足場及び作業の方法に関する知識(3時間) ・工事用設備、機械、器具、作業環境等に関する知識(30分) ・労働災害の防止に関する知識(1時間30分) ・関係法令(1時間) なお、特別教育の科目の全て、または一部について十分な知識や経験があると認められる場合は、これら科目の特別教育を省略することが可能です。 具体的には、 ・足場の組立て等作業主任者技能講習を修了した者 ・建築施工系とび科の訓練(普通職業訓練)を修了した者、居住システム系建築科又は居住システム系環境科の訓練(高度職業訓練)を修了した者等足場の組立て等作業主任者技能講習規程(昭和47年労働省告示第109号)第1条各号に掲げる者 ・とびに係る1級又は2級の技能検定に合格した者 ・とび科の職業訓練指導員免許を受けた者 というように、既に技能講習を修了していたり、検定合格者や免許取得者であることが必要です。

安全に作業を進めるために

企業も労働者が安全に、そして安心して働けるように職場や現場の環境を整備しています。その努力もあって、建設業の労働災害死亡者数は年々減少傾向にあります。 しかし、墜落が原因で起きる死亡災害は高い割合を占めている状況ですので、事故を防ぐためにも労働者に適切な特別教育を行う必要があると理解しておきましょう。