建設工事業情報ラボConstruction Business Information Lab

建設工事は事業者同士で契約書を交わすことが必要!

2018.11.13
分類:その他
事業者が建設工事を請け負う場合、契約書を作成しなければならないとされています。もし、違反すれば営業停止処分や許可取消などの可能性もありますので、建設業許可を取得している、していないに関係なく、元請でも下請でも必ず守るようにしてください。

契約書がなくても口約束で契約は成立するのでは?

建設工事の契約においては、契約書を交わさず口約束だけでも契約は成立すると考えている方もいるようです。 実際、保証契約など、一部例外的な契約を除けば、確かに口頭でも契約は成立します。ただし、契約が契約書なしで成立することと、契約書を作成する義務があることとはまったく別問題です。 建設工事の請負契約を締結する場合、発注者と請負人、または、元請業者と下請業者などは、契約書を工事前に作成して書面を交付しなければならないと建設業法第19条1項で規定されています。 公共工事や民間工事など工事の種類や、工事の規模や金額には関係なく、どの建設業者でも義務が発生しますので、必ず工事に着手する前までに交付するようにしましょう。

建設工事には契約書が必要とされている理由

では建設業法で契約書作成の義務を規定しているのでしょう。 一番の理由は、書面で契約内容を明確にすることにより、工事内容、施行範囲、請負代金などで当事者同士のトラブルを防ぐためです。 建設工事は複数の業者が長期に渡り着手することもあるので、責任の所在を事前に明確にしておかなければ、実際にトラブルが起きた時に問題が大きくなりがちです。 そのため、事前に契約内容を書面上に明確化しておくことが必要になります。

建設工事の契約書に記載する内容

では、契約書にはどのような内容を記載すればよいのでしょう。必要な項目は、次のように建設業法19条で規定されていますが、定めのない項目は省略することが可能です。 ① 工事内容 ② 請負代金の額 ③ 工事着手の時期及び工事完成の時期 ④ 請負代金の全部又は一部の前金払又は出来形部分に対する支払の定めをするときは、その支払の時期及び方法 ⑤ 当事者の一方から設計変更又は工事着手の延期若しくは工事の全部若しくは一部の中止の申出があった場合における工期の変更、請負代金の額の変更又は損害の負担及びそれらの額の算定方法に関する定め ⑥ 天災その他不可抗力による工期の変更又は損害の負担及びその額の算定方法に関する定め ⑦ 価格等(物価統制令(昭和21年勅令第118号)第2条に規定する価格等をいう。)の変動若しくは変更に基づく請負代金の額又は工事内容の変更 ⑧ 工事の施工により第三者が損害を受けた場合における賠償金の負担に関する定め ⑨ 注文者が工事に使用する資材を提供し、又は建設機械その他の機械を貸与するときは、その内容及び方法に関する定め ⑩ 注文者が工事の全部又は一部の完成を確認するための検査の時期及び方法並びに引渡しの時期 ⑪ 工事完成後における請負代金の支払の時期及び方法 ⑫ 工事の目的物の瑕疵を担保すべき責任又は当該責任の履行に関して講ずべき保証保険契約の締結その他の措置に関する定めをするときは、その内容 ⑬ 各当事者の履行の遅滞その他債務の不履行の場合における遅延利息、違約金その他の損害金 ⑭ 契約に関する紛争の解決方法 これらの項目を契約書に記載し、署名又は記名押印の上、相互に交付することが必要です。また、注文書と請書を交付することで契約書の代わりにする場合や、印紙代を節約するために電子契約を結ぶ時にもこれらの項目は必ず記載することが必要になります。

違反すれば重い処分の対象になる可能性もある

仮に建設業法に違反し、契約書を作成していなかったとしても請負契約が無効になるわけではありませんが、国や県から指導を受けることになったり、営業停止処分を受けるおそれは出てきます。重い場合は許可の取消処分を受けることになるので、必ず交付するようにしてください。