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建設業界での契約はなぜ請負があたりまえ?

2019.01.24
分類:その他
建設業者が工事を行う場合、まず、発注者から工事の依頼が元請に入り、元請から依頼を受けた下請が工事を請け負うという形です。 では、なぜ「請負」での契約が必要なのか、「委任」や「雇用」で契約することと何が違うのかなど確認しておきましょう。

民法上のそれぞれの定義は?

では請負、委任、雇用について、民法上での定義はどのようになっているのでしょう。それぞれ確認していきましょう。 請負とは 当事者である一方が仕事の完成させることを約束し、もう一方は仕事の結果に対する報酬を約束する事とされています。例えばビルの建築物の工事の依頼を受けた側は、その建物を完成させることで代金の請求ができるということです。 委任とは 当事者の一方が法律行為を行うことを約束して、もう一方がそのことを承諾する事としています。委任を受けた受任者は、法律行為を行うことの責任を負うということです。 雇用とは 当事者である一方が相手に労働に従事することを約束し、もう一方はその労働に対する報酬を与えることを約束する事としています。雇用された場合、仕事を行って初めて報酬(給料)が支払われるということです。

最も責任が重いのは請負?

これらから分かる様に、仕事を完成させた結果に対する責任を負うことが請負であり、雇用は労働に従事することを目的としているので完成させるかまでは問われません。 また、委任で委任を受けた方が負う責任は、法律行為を行うことに対する責任なので、仮に委任した方の意思に反していても、適正な行為であれば責任は問われないと考えられます。 これらの中で、責任において負担が大きいのは、完成させることが原則である請負といえますが、建設業ではこの請負契約が当たり前に行われています。

請負契約は契約書がなくても成立する?

責任が重い請負という契約において、実は民法上では当事者同士の合意で成立するとされています。そのため、書面で取り交わす必要はないとも考えられますが、建設業界で請負契約が結ばれる場合には契約書など書面が取り交わされます。 口頭の契約で成立したとしても、互いの意思を後に証明するものがなければ、万一の時にトラブルに発展する可能性も高いからです。 建設業法でも、請負契約においては契約書を交わす必要があるとされています。発注者と元請においての契約だけでなく、元請と下請との契約においても同様ですので、工事の請負契約を結ぶ時には必ず契約書の作成・交付を行いましょう。