建設工事業情報ラボConstruction Business Information Lab

技能者を評価できるシステム「建設キャリアアップシステム」が本格運用開始に!

2019.09.11
分類:その他
建設業界において、技能者が保有する資格や現場の就業履歴、社会保険への加入状況などをシステムに登録し、処遇改善や技能研鑽を図ることを目的とする「建設キャリアアップシステム」をご存知でしょうか。 建設業が重要な役割を担っていくためには、現場で働く労働者が高齢化している現状、そして若い世代が減少していることを課題としながら、将来建設業を支えていく優秀な人材を獲得し育成することが求められます。 そのためにも、保有する技能や経験に応じて適正な処遇を受けることができる環境を整備することは欠かせません。

処遇改善の一歩として

建設業界で働く技能者は、いろいろな事業者の現場で少しずつ経験を積むことになるため、それぞれの能力を統一して評価しにくいという特徴があります。 現場を管理したり指導したりなど、経験を積んでいるからこそできる技能者が担う役割に対しても、処遇に反映されにくい環境であるといえるでしょう。 そこで、技能者の就業履歴や保有する資格など、ICカードを通じてシステムに蓄積させ、処遇改善や技能研鑽を図っていくことで平等に評価することが可能となります。 この「建設キャリアアップシステム」は官民一体で取り組みが始まっており、2019年4月から本格運用が開始されています。

建設キャリアアップシステムの仕組み

建設キャリアアップシステムを利用する際には、技能者本人の住所や氏名などの情報、保有する資格、研修受講の履歴、社会保険加入状況、建退共手帳の有無などを登録することになります。 事業者は、商号や所在地、建設業許可についての情報などを登録することになりますが、それにより技能者にICカードが配布されます。 元請事業者が現場の情報をシステムに登録し、技能者が現場に入場するときには設置されたカードリーダーでICカードを読み取ります。 それによって、どの技能者がいつ、どこの現場でどのような作業を行ったのかシステムに蓄積される仕組みです。

建設業界に画期的な変化をもたらす可能性も?

建設業界を離れた技能者が、再入職するときにも習得していた資格や研修、経験を客観的に証明することができるようになるでしょう。一度は建設業界を離れてしまったけれど、再度引き戻すといったことに活用できる可能性も出てくるはずです。 雇用する技能者がどのくらいの水準なのか客観的に確認が可能となり、施工力をアピールする材料として利用することもできます。 独自の就労履歴システムなどで運用を始めている場合には、建設キャリアアップシステムと連携されることでシステムを拡充したり、合理化を図ることもできると考えられます。