建設業が原価管理する上で重要となる原価計算の注意点

建設業が原価計算において、用いる勘定科目や工事間接費の割り当てなども業界特有のものですし、計算の過程でも個別工事ごとに原価の集計が必要となります。
工事進行基準を適用するなら進捗率の算出も必要となるので、原価管理や原価計算で基本的に知っておきたいことを把握しておきましょう。
建設業の原価計算方法の特徴
建設業の原価計算はそれぞれの工事で管理する個別原価計算が必要ですが、それ以外にも特殊な手法が用いられます。
まず原価要素となるのは材料費・労務費・経費の3つが主ですが、これが建設業になると外注割合が高いため、外注費もその要素に加えます。
それぞれの工事現場を共通し発生する原価についても、工事間接費として個別工事に割り当てることが必要です。
個別工事の原価を把握しておけばよいだけでなく、費目や年度ごとなど様々な視点から原価計算が必要になるといえるでしょう。
原価計算の目的
建設業の原価計算の主な目的として挙げられるのは、財務会計からの視点では財務諸表作成と受注における工事原価の積算、そして管理会計からの視点で個別工事の原価管理や次期事業計画立案などです。
財務諸表は取引先や金融機関だけでなく、株主や投資家などにも公開するために必要であり、財務諸表に必要な原価の算出は完成工事原価や未成工事原価などの原価を集計して行うことになります。
そして請負受注を支えるのは提案される見積もり金額の根拠となる原価計算です。原価に利益を加えた工事の金額が、本当に適正なものか判断するための材料にできます。
予算編成や事業計画立案にも原価計算は欠かせません。原価計算に基づいた事業計画により、売上を最大化させることも可能になると考えられます。
建設業の原価計算の流れ
建設業の原価計算は費目と工事、それぞれの段階を踏むことになります。
費目別の原価計算は、原価要素を材料費・労務費・外注費・経費にそれぞれ分け、さらに工事直接費と工事間接費に分類します。
工事間接費を各工事原価に割り当てますが、工事間接費に該当するのは複数の工事現場を管理している従業員の労務費・現場事務所の仮設材料費や諸経費などです。
配布基準は費目を問わず一括配賦する一括配賦法と、類似する原価要素をグループに分けて割り当てるグループ配賦法、費目ごとの割り当てとなる費目別配賦法の3つに分けられています。
配賦方法には種類がある
配賦種類も予定配賦を行い後で差異を処理する予定配賦法や、発生額に基づき配賦を行う実際配賦法など分かれています。
個別工事は工事台帳や出面帳などで管理をしていることもあるでしょうが、包括的にシステムと連携することも視野に入れ、整理すれば業務効率に役立ちます。