建設工事における元請は下請への資金繰りにまで配慮が必要?
建設業界では元請と下請、さらには下請と孫請け、ひ孫請けといったピラミッド型の請け負い構造が存在します。
発注先から仕事を請けるのは元請であり、元請からその仕事の一部を委託されるのが下請で、さらにその仕事を下請から委託されるのが孫請けです。
建設業界の下請構造は、一次請けや二次請け、三次請けなど次々に仕事が委託されることが多くなっています。
工事1件に対し、複数の業者が参加することになりますが、このピラミッド型の構造が存在することにより下請に位置する業者の資金繰りは悪化しやすい環境にあるといえます。
ピラミッド型の下請構造が資金繰りを悪化させる
お金の問題は会社の信頼関係を左右する問題でもあり、自社の資金繰りにも影響を与えます。
建設業界での契約は出来高払い制であることが多いですが、元請から代金を支払ってもらえず手元の資金不足に悩む業者もあるようです。下請は元請から入金されないことにより、孫請けへの支払いができないという状況に陥ります。
しかし元請から下請に支払いが行われないのは、単に元請が支払いを忘れていたり遅らせていたりしているわけではないようです。そもそもも発注先から元請に対して支払いがされないため、下請にも支払いができず、さらにピラミッド構造の下位層に位置する業者への支払いに影響を及ぼすといった流れになっています。
元請は下請の資金繰りにも配慮が必要?
国土交通省は、建設工事の請負代金支払いに関する紛争を未然に防ぐため、適切な下請を選び管理を徹底すること、そして下請の資金繰りに配慮するようにガイドラインで示しています。
経営状況を把握するように努め、下請から資金繰りの相談があれば前金や出来高払の早期化、貸付といった対応を行うことが必要としているのです。
元請にも事情がある?
しかし元請側の事情として、発注先から工事代金を支払ってもらえないことによる資金繰り悪化の危機にたたされていることもあります。
とはいえ契約した以上は代金を支払うことはあたりまえのことです。元請けは発注先から仕事を請けると、下請にその業務を発注する時に中間マージンを徴収することが一般的となっています。
そのためピラミッド構造の下位層に位置する業者になるほど、同じ仕事内容だとしても受け取る報酬は少なくなってしまいます。
下請として業務を請け負う数が増えれば、間を介す業者から業者に発注先の意向が伝えられていくことになります。そのため、本来発注先が元請に伝えていたはずの内容が、最終的に違った形で伝えられてしまうこともある点にも十分注意しておきましょう。