運送業ではトラックドライバーの働き方改革が進んでおり、コンプライアンス遵守に向けた動きが活発化しています。
取引におけるトラブルや、労使間での問題などが発生しないように、行政ルールや法律を守ることを徹底しましょう。
そこで、運送業のコンプライアンスについて、法務リスクとの関係や取り入れたい研修の内容を解説していきます。
「コンプライアンス」とは、法令遵守ともいい、企業などが法律を守ることです。
具体的には、法令等遵守と定義されており、法令を超えた社会規範・社会道徳・ステークホルダー(利害関係者)の利益や要請に対応することまで含まれます。
「法務リスク」とは、企業の抱える法的な問題・紛争に関するリスクのことです。
何の対応もせず、放置すれば企業存続の危機に陥る恐れもあります。
仮に企業が不祥事を起こした場合には、単なる法令違反に留まるだけでなく、深刻なコンプライアンスリスクとして顕在化してしまう場合もあります。
たとえば社会規範や社会道徳に反する場合や、利害関係者の要請に対応できていないケースなどです。
ただ、不祥事が発生したときの対応にミスしてしまうことや、発生を防ぐための対策を間違ってしまうおそれもあります。
コンプライアンスリスクと法務リスクは重なり合うものの、イコールでは結びつくわけではなく、コンプライアンスの検討で法務リスクを検討すれば足りるわけではないと留意しておきましょう。
運送業でコンプライアンスリスク研修を行うときには、運送業の業界特性を踏まえた上での内容にすることが必要です。
規制緩和により、運送業の競争は激化しており、サービスの高度化なども進んでいます。
そのため輸送の安全確保や過重労働防止、取引関係の適正化なども徹底することが必要といえます。
荷役作業や輸送中の事故を防ぐためにも、安全管理やコンプライアンス遵守などの体制を整備することや、荷主との関係を適正化することに対する意識を高めることが必要です。
運送業界は長時間労働が発生しやすい環境であり、労働法令を正しく理解して過重労働を防ぐ従業員の意識付けも必要といえるでしょう。
カルテルは独占禁止法上の不当取引制限として、課徴金・刑事罰の対象とされています。
他社と接触する機会が多い業界であるため、正しい知識で取り組みを進めていくことが必要といえるでしょう。