資材置場に積み保管していた木材が倒れたり、ビル改装工事中に上から誤っ手落としてしまった落下物で通行人にケガをさせてしまった場合、足場が外れて落下し隣りの建物を損壊した場合など工事現場には工事を行う人だけでなく、周辺の人や建物にもリスクが発生します。
道路建設工事や舗装工事、ビル建設など様々な工事現場で法律上の損害賠償責任を負担することになった場合の補償を行う保険です。次のようなケースで発生した損害賠償に対して補償を受けることができます。
・請負作業遂行中に偶然に発生した事故
・請負作業を遂行するため所有・使用・管理している施設の欠陥や管理不備によって発生した偶然の事故によって他人の生命や身体を害した場合
・他人の財物を滅失・破損・汚損した場合
クレーンなど移動型車両の場合は自動車保険にも加入しているでしょう。この場合、請負賠償責任保険にも加入しておけば事故が発生した時にどちらからも同額補償が行われると思ってしまうかもしれませんが実際はそうではありません。
トラッククレーン車が道路を走行中、他の車にぶつかって損壊してしまった場合などです。公道を走ることから自動車保険にも加入しているケースがほとんどですが、この場合一般的には自動車保険が優先されることになっています。自動車保険でも車両の運行や管理に起因する賠償事故として補償対象になります。補償範囲を拡大したい場合には、自動車保険に合わせて請負賠償責任保険で備えておくと良いでしょう。請負賠償責任保険では、損害の額が自賠責保険や自動車保険で支払われる保険金と免責金額の合算額を超える場合、その超過分についての保険金が支払われるようになっています。
高所で作業中に操作を誤り電線が切断されてしまいダンプを盗難されてしまった場合などのケースや、現場から移動している最中に誤って追突事故を起こしてしまった場合などはどうでしょう。この場合も自動車保険から補償が優先されます。工作車についての賠償責任は、出入り制限されている現場で発生した事故に対しての補償は行われます。ただしブルドーザーやダンプ、ショベルなどは工作車には含まれないことになっています。
請負賠償責任保険だけ加入していれば自動車保険に加入しなくて良いのかというとそうではありません。請負賠償責任保険では、工事現場外での自動車事故についての補償がされないため自動車保険に加入しておく必要があります。
建設業を取り巻くリスクや、それに対応できる保険については、個人の生命保険や損害保険比べると保険の設計や万が一事故が発生した場合の対応が複雑な場合が多いため、独断で判断してしまわないほうが良いでしょう。