介護施設で利用者に介護サービスを提供する上で、大切なことは介護事業者とスタッフとの間で事業理念を共有することです。
事業理念は、介護施設の基本的な姿勢をあらわすものであり、法人や組織の理念がスタッフに浸透していれば現場での業務もしっかりと行われていることでしょう。
しかし事業理念が浸透していなければ、人手が足らず忙しい状況に不満を抱え、仕事に手を抜くスタッフも出てくる可能性があります。
そこで、介護事業者とスタッフとの事業理念の共有が重要となる理由について詳しく説明していきます。
介護現場で事業理念が浸透していないと、しわ寄せが利用者に向かうことになってしまいます。
たとえば限られた時間で食事を済ませてもらうため、介護スタッフのペースで次々と口元に運ぶことが起きてしまうケースや、見た目を楽しむことのできないどんぶり状態のご飯になるなど、時間をかけることである程度自分で食べることができる人にまで介助することになるでしょう。
利用者の尊厳を守った上での介護ができなくなるため、事業理念をしっかりと浸透させておくことが必要です。
介護現場で事業理念を浸透させるために、介護スタッフの目に届きやすいところに掲示しておくとよいでしょう。
また、ミーティングを行うときに声に出し読み上げるなど、確認する作業も必要です。
介護スタッフに、どのような介護サービスを提供してほしいのか、責任者は伝えなければなりません。
事業理念が浸透していないことで、利用者に対する虐待や不適切なケアが起きてからでは、遅いため、先に利用者の尊厳を守ることの大切さを伝えておくようにしましょう。
事業理念は、介護スタッフが介護現場で働くときの行動指針になるものです。
介護スタッフにもいろいろな性格の方がおり、利用者の抱える悩みや不安も様々です。
そのような環境でも事業理念を共有しておくことで、同じ目的に向かい介護サービスを提供できます。
多忙な中で誠意を尽くす事業理念に立ち返れば、利用者に対する介護スタッフの振る舞いも変わってくるはずです。
施設の事業理念は利用者やその家族なども確認しておきたい部分といえますが、明確に示していることと、その理念に沿った対応ができているか確認されると留意しておくべきといえます。