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介護事業者が財務状況を確認するために読み解く決算書とは?構成や内容を解説

2023.09.29
分類:経営

介護業界に対するニーズは、少子高齢化の影響もありどんどん大きくなっているとえますが、けっして安泰とはいえず少ない手元の資金で資金繰りをクリアしながら運営している介護事業所も少なくありません。

 介護報酬が収入源であり、自由に儲けを増やすことができない業界であるがゆえに、介護職員に支払う賃金も急激に増やすことは難しいのが現状です。

 今後、制度の変更などがあれば介護事業の運営状況も変わってくると考えられますが、現状を把握しておくためにも決算書を読み解く能力は必要といえます。

 そこで、財務状況を確認できる決算書とは何か、構成や内容について解説していきます。

決算書とは

 「決算書」は、一定の事業期間における会社の業績・資産や負債などの財務状態など表す書類であり、事業活動に伴う資金の流れなど計算してまとめて表示しています。

 日本で事業を営む法人は、会社規模を問わずに決算書を作成して事業年度終了日翌日から2か月以内に確定申告書し、税務署に決算書を提出する義務があります。

 決算書は、収入に応じた税金を納めることを目的とするだけでなく、株主・取引先・融資先などのステークホルダーに経営成績や財政状態を報告する意味も役割として担っています

  

決算書の構成

 決算書は、財務三表と呼ばれる次の3つの表で構成されています。

 ・貸借対照表

・損益計算書

・キャッシュフロー計算書

 それぞれの役割や内容について説明していきます。

 

 貸借対照表

 「貸借対照表(B/S)」とは、資産・負債・純資産を表示するため、財務の内容や状況を把握する上で必要な表です。

 右側が負債の部と純資産の部、左側は資産の部と分けられており、左右は同じ金額となる均衡状態を保つためバランス・シートとも呼ばれます。

 返済義務のない資本について示す自己資本比率と、短期的な支払い能力を判断するための流動比率を算出できるため、資金繰りの安全性を確認できます。

 

 損益計算書

 「損益計算書(P/L)」とは、事業年度においての収益から費用を差し引いた利益を把握できる表です。

 利益や損失が発生した原因を読み解くことが可能であり、利益は売上総利益・営業利益・経常利益・税引前当期純利益・当期純利益の5段階の利益で表示されます。

 

キャッシュフロー計算書

「キャッシュフロー計算書」とは、事業年度の期首から期末までの現金の動きを知ることができる表で、お金の流れを把握することができます。

会計期間での変動を営業取引・投資取引・財務取引に分けて表示することが特徴で、貸借対照表で繁栄されない現金の増減の原因や、損益計算書との収入や支払いのズレを把握することが可能です。

ただしキャッシュフロー計算書に表示されるのはあくまでも事業年度における結果に過ぎないため、資金繰りの現状を把握するときには資金繰り表などを別途作成することが必要になります。