介護人材が不足していることは、業界内だけでなく他業界でも知られている事実であり、大きな課題といえます。
ベッドの空きはあってもスタッフがいないなど、地方の高齢者が多い地域などは人材発掘が急務といえる状況ですが、それぞれの自治体でも介護スタッフとして働く人材発掘や定着に向けて介護事業所やスタッフに対するサポート体制を整備しているところです。
そこで、具体的にどのようなサポートが行われているのか、その内容を一部紹介します。
介護事業所の9割近くが新たな人材の採用について困難だと感じており、同業他社との差別化が難しいことや労働条件の競争激化などで、人手不足に悩まされています。
人材不足は経営者だけでなく現場の介護スタッフにとっても大きな悩みであり、それぞれのスタッフの仕事量増加など労働負担を重くするだけでなく、満足な介護サービス提供につながらないといった切実な声も出ているようです。
介護現場の離職者の約4割は介護職経験1年未満という短さで、入職後すぐに退職しているようです。
約3割が1年以上3年未満で離職するなど、入職後6割以上は3年以内に辞めているため、定着率を向上させることが人材不足解消にカギとなるといえるでしょう。
介護職員に独自で手当や奨励金を支給するなど、人材の定着に向けた取り組みを行う自治体も増えています。
自治体によって制度の創設や取り組みは様々ですが、次のような事例が挙げられます。
・若手人材に向けた研修会などの開催
・修学資金貸付制度の創設
・復職・再就職支援への対策
それぞれの事例について紹介していきます。
介護現場で働く若手人材に向けて、介護の知識やスキルを向上させる研修会を開催する自治体もあります。
介護技術習得の向けた学びだけでなく、仕事の悩みなどの相談や労働環境改善につながるアイデアの創出など、様々な内容を研修内容に盛り込むことで若い人材を定着させることができます。
また、外部の介護現場スタッフとの交流で意見を交換することにより、新たな知見を得て視野を広げることも可能です。
介護福祉士を目指す方が養成施設で学ぶとき、修学費用をサポートする制度を創設している自治体もあります。
貸付条件や金額は自治体ごとに異なるものの、入学や就職の準備に必要な資金を20万円程度貸与してくれることが多いようです。
介護福祉士資格取得後は、自治体管轄の社会福祉施設などで働くことにより、修学資金返還も免除されるといった仕組みになっているため、地域に人材を定着させることにもつながっています。
出産や育児など何らかの事情で介護職から離れた潜在介護人材を再び介護現場に呼び戻すために、再就職した介護スタッフを対象とした再就職準備金交付を行う自治体もあります。
自治体管轄の社会福祉施設などで一定期間勤務することにより、返還も免除される仕組みです。
他にも実技に関するセミナーや受験対策提供などを行う自治体もあるなど、より介護現場で活躍しやすい環境が整備されてきたといえるでしょう。