介護事業を始めようと考えたとき、一人なら経営などにおいて自由度が高いことがメリットである反面、すべてを自らが決めて責任を負わなければならないことに不安を感じ、「共同経営」を希望するケースもあることでしょう。
共同経営なら、たとえば有能な方をパートナーとして、一緒に力を合わせて介護事業を盛り立てていくことができます。
相乗効果により、事業を好転させることが可能となるかもしれません。
しかしその一方で、共同経営にはさまざまなリスクもあることは理解しておく必要があります。
そこで、介護事業の共同経営を検討している方に向けて、共同経営のメリット・デメリットについてお伝えしていきます。「共同経営」とは、複数の経営者が対等な立場で、ともに経営することです。
互いに不足する資金・経営スキル・業務スキルなどを補い合うことができ、それによる相乗効果でスムーズに事業をスタートさせることができるでしょう。
共同経営をスタートさせることについて、考えられるメリットは主に次の4つです。
・不足部分を補いあえる
・責任を分担できる
・相談相手ができる
・役割分担できる
それぞれ説明していきます。
資金や経営ノウハウなど、足らない部分を補い合うことができるのは共同経営のメリットです。
得意なことなど役割分担すれば、効率よく仕事が進みます。
意思決定の相談や助言しあうことで、孤独感を和らげることもできます。
立場に応じた意思決定により、一人で抱えこむ必要はなく、責任を押し付けることもないはずです。
ただし法人など組織を設立するときには、出資者が法的に責任を問われることもあるため、その点を踏まえて決定するようにしましょう。
意思決定の役割がそれぞれにあるとしても、一人だけで悩まず経営者目線で相談する相手がいることは、大きな安心感につながります。
役割を分けておくことで、得意な分野に専念できるようになり、仕事の質を高めることができます。
反対に共同経営では、次のデメリットについても留意しておく必要があります。
・意思決定まで時間がかかる
・人間関係に不満がたまりやすい
・責任の所在が曖昧になりやすい
それぞれ説明していきます。
個人事業なら自身で決定できたことも、共同経営では経営者同士の合意が必要となります。
意見が決裂し、決定までに時間がかかることもあるのはデメリットといえるでしょう。
意思決定までのスピード感が失われればビジネスチャンスを逃してしまうリスクも高くなります。
経営状態が良好のときは経営者同士がよい協力関係を維持できることでしょう。
しかし業績が悪化しているときや何らかのトラブルが発生したとき、相手のせいにしたり不満が募ったりなど、人間関係に不満が溜まりやすくなるのはデメリットです。
特にトラブルになりやすい原因のひとつとして、貢献度合いに応じた報酬比率でないことが挙げられます。
経営者が複数存在すれば誰の責任か明確にできず、重大な決断もあいまいになる可能性があり、組織の弱さにつながってしまいます。