介護施設の利用者に対し、介助や身の回りのお世話をする介護職員。介護施設の現場で直接高齢者とかかわりをもちながら、ニーズに対応できる介護職員として活躍したいと働き始めたものの、その過酷な現場の状況に耐えることができず辞めてしまう方もいるようです。
ただ、労働と賃金が見合い十分な年収であれば、このような問題も解決されるのかもしれません。
そこで、介護施設で働く介護職員はどのくらいの月収や年収なのか、その実態に触れていきます。
介護施設で働く介護職員の月収を把握するため、厚生労働省が公表している「平成30年 介護従事者待遇状況等調査」の結果を見ると、ホームヘルパー以外の平均月収は正規・非正規含め25.9万円とのことです。
その他、
・有料老人ホームなどの介護老人福祉施設 28.5万円
・介護老人保健施設 28.9万円
・デイサービスなどの通所介護 23.2万円
・グループホーム 22.8万円
となっており、この平均月収がはたして満足できる金額なのかは、施設内での労働によるところと考えられます。
実際に介護施設で働く介護職員に行ったアンケート調査でも、今の待遇に不満を感じているという方は8割を超えており、その理由として賃金に対する不満が6割以上という結果もあるほどです。
正当に評価されていないと約半数の方が感じており、労働に見合う評価を得ていないことで賃金に反映されず、年収も上がらないと感じていると考えられます。
介護施設を働きやすい環境だと感じるためには、まず施設が賃金を見直すことが必要と考える介護職員も多く、退職理由としても賃金への不満が挙げられることが多いのが現状です。
実際のところ、介護職員全体での平均給与は上がりつつある状況ですが、労働と見合うかという部分で考えてときには不満を感じる方が多いといえます。
評価される待遇に反映されない理由として、介護施設内部での待遇格差が考えられるでしょう。
消費税増税に伴い、2019年10月からは特定処遇改善制度が新しく施行されました。しかしこの制度は、技能や経験のある介護職員に対する処遇改善が目的です。
職場で最低1人以上、10年以上などキャリアのある介護福祉士の賃金を月8万円以上アップさせるか、年収を440万円以上にするといったルールになっていることが特徴といえます。
この制度の存在が、さらに待遇格差を感じさせる要因となっており、新規の介護職員は間に挟まれる中堅の介護職員にとっては何も恩恵がないと感じてしまうようです。
介護職員の間での賃金バランスが崩れ、さらに賃金に対する不公平さによる不満を増大させているといえます。
介護職員に対し、たとえば社会福祉士を取得する上での支援制度を設け、資格手当を支給するなど、ステップアップで年収アップにつなげることができる介護施設独自の制度を設けることも必要といえます。
介護福祉士を目指すモチベーションもアップし、それにより提供する介護サービスも向上させることができるでしょう。