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退職金規定を設けていない介護事業所の特徴と規定する場合の注意点とは?

2023.07.16
分類:総務

労働基準法に退職金について取り決めはされていないため、退職金を支払うかについては介護事業所が自由に決めて良いといえます。

そのため特に退職金支給はしないと決めている介護事業所も少なくありませんが、就業規則に退職金支給を明記していれば支払義務が発生するため注意が必要です。

そこで、退職金規定を設けていない介護事業所の特徴や、規定する場合の注意点について説明していきます。

退職金の法的な規定

労働基準法では、退職金支給に関して義務付ける規定は特にありません。

・退職金が適用される労働者の範囲

・退職手当の決定

・計算・支払いの方法

・退職手当の支払い時期

などについて、就業規則に記載し、行政官庁へ届出することが必要と記載があるのみです。

退職金規定のない介護事業所の特徴

退職金規程は、介護事業所であれば企業規模が小さいほど設定していないケースが増えます。

介護事業所の事情により規定を設けるかどうかは違ってきますが、不足しがちな人材を獲得するためにも、内部留保を確保し退職金として支払うことのできる土台づくりが必要です。

また、退職金規定がある介護事業所でも、利益から支給する原資を積み立てているケースもあれば、資金運用により確保したり退職金積立制度を利用したりなどいろいろな方法が活用されています。

他にも保険を活用し、退職後に保険会社から支払ってもらう方法なども活用できますが、いずれの場合でも事業者側の負担は否めません。

退職金規定の注意点

退職金規定があれば、介護事業所を辞める従業員は、退職金を請求する権利を得ているといえます。

受け取りの時期や方法は介護事業所によって異なるものの、期日など記載されている場合にはその期日どおりに、特段の定めがなければ退職後7日以内に支給することが必要です。

また、支払い方法も現金で直接手渡しするケースもあれば、振込みなど方法は異なりますが、いずれも退職金の支払いを滞らせることは避けましょう。

少額の退職金であっても、支給の遅れが続いてしまえば、退職した従業員とのトラブルに発展するリスクを高めます。

退職金は給与の一部であるため、すべて支払い終わるまでは未払い状態となるため、労働問題に発展すれば訴訟を起こされる可能性もあるからです。

取り決めた退職金は遅れず支払うことや、退職金規定を設けるときにはその支払い原資をどこから捻出するのか予定しておくようにしてください。