日本は高齢化社会を迎えたことで、介護事業の需要もかなり高くなっているといえます。
介護業界はどの業界よりも多く注目を集めているといえますが、注目度とは裏腹に資金繰りに悩む介護事業者も少なくありません。
資金に行き詰まると事業運営が厳しくなってしまいますが、介護事業は他業界とは異なる資金面での問題を抱えやすいことが特徴です。
そこで、介護事業はなぜ資金繰りが悪化しやすいのか、その理由について解説していきます。
介護事業の収入源は、利用者の支払う介護報酬です。
介護保険制度が適用される場合、利用者にサービスを提供した後に介護報酬を国保連などの機関に請求することになるため、入金までの期間が2か月程度かかります。
この入金までのタイムラグこそが、介護事業の資金繰りを苦しくさせているといえるでしょう。
介護報酬が入金されるまでの期間を短縮してほしいと国保連などに交渉しても応じてもらえないため、短縮することはできません。
そのため介護事業者は、介護報酬入金までのタイムラグに備えて、手元の資金に余裕を持たせておくことが重要といえます。
介護施設を開業した直後や、事業を拡大したタイミングなどにおいては、よりタイムラグの影響を受けやすいため注意してください。
介護事業で発生するコストも大半は、人件費が占めるともいえます。
労働集約型のビジネスであるため、一般的な業種であれば、人件費を圧縮して経費削減なども検討できるのに対し、介護事業での人件費削減は困難です。
そもそも人手が足りていないことが多い業界であるため、今よりも人件費を削減すれば、サービスレベル低下につながるだけでなく離職率を高める結果になりかねません。
給与水準を下げる介護職員を確保することが困難になり、事業存続させること自体が難しくなると留意しておくべきです。
仮に人件費を削減して事業を継続できた場合でも、介護職員の負担が増える結果となり、っ様々な問題を引き起こす可能性を高めてしまいます。
介護事業は、法律で員基準が設けられています。
たとえば通所介護では、生活相談員・看護職員・介護職員・機能訓練指導員・管理者をそれぞれ定められている人数以上で配置することが必要です。
利用者がほとんどいない介護事業所でも、事業存続において必要人数を雇用しつづけなければならないことは、資金繰りを悪化させる要因になりかねないといえます。