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介護施設を合資会社で運営することにメリットはある?

2020.03.23
分類:経営

営利を目的として法人を設立する場合、その形態には株式会社・合同会社・合資会社・合名会社の4つがあります。

合資会社が運営している介護施設などを目にしたことがある方もいるでしょうし、合資会社で介護施設を開設しようと考えている方もいるかもしれません。

ただ、合資会社や合名会社は現在、ほとんど設立することがない法人形態ですが、どのような特徴があるのでしょう。

合資会社とは?

合資会社は持分会社のうちの1つであり、会社債務に対して無制限に責任を負うこととなる無限責任社員、そして出資額まで責任を負う有限責任社員により構成されます。

経営にかかわるのは無限責任社員ですが、無限責任社員と有限責任社員がそれぞれ1名ずつ以上は必要です。

無限責任社員が自分以外の1名を常に雇用した状態で、人件費を支払い続けなければならないと考えられます。

 

合資会社と株式会社は何が違う?

先に述べたとおり合資会社は無限責任社員と有限責任社員が必要ですが、株式会社は有限責任社員しかいません。

そして株式会社は1人でも設立できるのに対し、合資会社は最低でも2名必要という点でも違いがあります。

また、株式会社は決算公告が必要となりますが合資会社はありません。

 

合資会社の特徴

自分1人だけで法人を設立できるのは株式会社だけでなく、合同会社、合名会社も同様です。

無限責任社員が存在するという点では合名会社と同じですが、しかし会社を設立する上で最低人員数だけを見れば、合資会社は特殊な法人形態といえるでしょう。

設立手続きの費用も株式会社などと比べれば低く抑えることができますし、手続きも比較的容易なのは、資本金という制度がないので決算公告の義務も発生しないからでしょう。

会社法の範囲内で、定款の内容を自由に設定できるのも合資会社の特徴として挙げられます。

 

もし合資会社で介護施設を運営して失敗したら…

会社を設立するときには簡単だし、設立後もいろいろな手間がかからなくてよいと思うかもしれません。しかし万一合資会社で介護施設を運営し、失敗してしまったときや訴訟問題が発生したときには、無限責任社員も責任を負うことになるのでその責任がすべての資産に及んでしまう可能性も考えられます。

 

結局どの法人形態を選んで介護施設を運営すれば?

合資会社と間違われやすい法人形態に合同会社がありますが、合同会社はアメリカのLLCをモデルとした会社形態であり、合資会社と違い有限責任社員だけなので出資額以上の責任を負うことはありません。

経営者がリスクを負うことが不安という場合は、合資会社で介護施設を運営することはリスクが高くなる可能性があると理解しておきましょう。