介護保険制度とは、介護が必要な方が適切に介護サービスを利用できるように、社会全体が支え合うために設けられた制度です。
今の日本は核家族化や少子高齢化など、自宅で介護を必要とする方を支えにくい環境となっているため、介護を必要とする方とその家族が抱える負担を軽減できることを目的としています。
介護保険制度の基本となる介護保険法は1997年12月に制定され、2000年4月から施行されている法律です。年齢が40歳になった月から、介護保険に加入することが義務化されています。
40歳から64歳までは第2号被保険者、65歳以上は第1号被保険者に区分されていますが、第2号被保険者は16種類の特定疾病を患っており、さらに要介護認定を受けた場合に介護保険から給付を受けることができます。
第1号被保険者は介護が必要であることを示す要介護認定を受けることで介護保険による給付を受けることが可能ですが、年齢が39歳以下の方が要介護状態になったとしても介護保険を利用したサービスは受けることができません。
介護事業を営む事業所が注意したいのは、介護保険から支払われる介護報酬はすぐに入金されないという点です。
介護サービスを利用者に提供し、介護報酬を国保連に請求して入金されるまで2か月はかかりますので、もしこれから介護事業を始めようとする場合には、法人設立から半年くらいは十分な収入を確保できないということです。
開業するための資金に加え、その間の運転資金も確保しておかなければ事業を継続することはできないということになります。
介護事業を開業するときには、仮に利用者は少ない場合でも、法律で定められている人員基準を満たすことが必要なため、まだ介護事業所として稼働していない期間でも人件費は発生してしまいます。
本来なら利用者が増えることに伴い、少しずつスタッフも増員したいと考えるものでしょうが、介護事業所の場合はこの対応ができず、必ず雇用しておかなければいけない人数に注意が必要です。
介護保険制度については、3年を目安に介護保険法および介護報酬が改正されています。
この改正に合わせ、市町村介護保険事業計画の策定も実施されていますが、法律や報酬が改定されることで事業内容を変更することが必要になることも考えられます。
特に介護報酬の基準単位など、介護保険法や政省令によって規定されていますので、採算が合わないという可能性もあることは理解しておく必要があるでしょう。