近年では、介護事業だけを営むのではなく、たとえば外食産業や整備会社、建設業、家電メーカーなど、介護とは直接関係のない民間企業が介護分野に新たに参入するようになりました。
介護施設の経営を始める他分野の民間企業が増えているのは、介護ニーズの高まりにこたえるため、そしてそれぞれの分野のメリットを活かした経営が可能だからと考えられているからといえるでしょう。
介護保険制度が施行されてからは、規制が緩和されたことで民間企業が多く新たに介護事業所を開設するなど、参入が活発化されています。
すでに別分野で活躍している企業が、介護施設の経営に乗り出すのは次のようなメリットがあると考えられます。
大手の外食産業が介護分野に新しく参入することで、施設内で提供される「食」が充実します。
ずっと施設内で過ごしている入所者にとって、食事は毎日の楽しみの1つであり、おいしい食事が提供されるというのは入所者の大きなメリットとなるでしょう。
大手建設会社が介護事業へと参入することにより、住みやすい場所を確保できるようになります。
エリア一帯が高齢化した場合にも、その地域性を重視して老人ホームを建設し、これまでと変わらない生活を同じ場所で快適に送ることができるのです。
建てることで、「住む家は変わっても住み慣れた地域で暮らす」ことを可能にしました。
グレードの高い建物だけでなく、食事面を重視、介護スタッフにもゆとりを持った配置、さらには介護用ロボットなどの活用など、資金力の高さを活かした介護施設の経営を行っているようです。
大手警備会社も介護ビジネスに新たに参入する傾向が見られますが、夜間徘徊や事故といった高齢者が抱えるリスクに対するセキュリティ面を強化できます。
在宅で見守りサービスなど利用していた方が要介護状態になり、見守りサービスを依頼していた会社の経営する介護施設にそのまま入所するということもあるようです。
入所者が外に出てしまうといった部分での監視的な機能だけでなく、外部からの侵入者に備える安全面でも強化できるのは大きなメリットと言えるでしょう。
すでに参入している分野のメリットを生かし、新たに介護施設を開設する企業も増えてはいますが、見通しが甘いと倒産してしまう可能性もあります。
母体となる企業の特徴を活かし、施設で提供できる食や住環境、安全面などいずれかを特化することで、他の介護施設との差別化を図っているとも考えられます。
もし介護施設をこれから開設し、経営を始めようと考えるのなら、このような新たな形もあると参考にしてみてはいかがでしょう。