少子高齢化で介護に対するニーズは高まっていることに伴い、次々に老人ホームなど介護施設の開業に乗り出す企業も増えています。
しかし、利用者もいる状態で事業所が閉鎖するなど、利用していた方本人や家族が行き場を失うといった事態が起きているのも見逃せません。
介護施設に入所する形で利用している高齢者は、もし介護施設が倒産してしまい事業所が閉鎖してしまえば次の老人ホームを探すことが必要になります。
中にはやっとの思いで入所したというケースもあるため、簡単に次の介護施設を見つけることができず、途方にくれるといった事態も起きています。
ただ、介護ニーズはこれほど高まっているのに、なぜ介護施設が倒産や閉鎖に追い込まれることになるのでしょう。
確かに介護に対するニーズは高まっているものの、介護業界の実情はけっして楽なものではなく、むしろかなり厳しい状態であるといえます。
高齢者の人数は今後も増加し続け、超高齢化社会となることは避けることができません。介護施設へ入所を希望する高齢者が増えれば、介護施設の数や施設内で働くスタッフの数を揃えることが必要になります。
しかし、介護施設の数が増えたとしても中で働くスタッフの数は増えず、特に知識や技術、経験値の高いスタッフの数は圧倒的に不足しています。
人員基準の規定がある介護施設の場合、基準は満たされているはずなのにスタッフがすぐに辞めてしまうなど、人員確保だけで綱渡り状態となり、スタッフを育てることにまで辿りつけていないのが現状のようです。
人数が少なければスタッフ1人に対する負担も大きくなるので、給料に見合わない労働だと不満を抱え、さらに離職者を増やすことになってしまうでしょう。
大切なのは適切な労働環境を整備し、スタッフが働きやすい環境を作ることでるといえます。
また、介護施設の運営がうまくいっていない場合もあるようで、採算が取れず負債が溜まり倒産してしまうケースも多いようです。
特に中小規模の介護施設は資金力が弱いため、介護報酬が入金されるまでの間の運転資金が底をつき倒産、倒産しなくても赤字経営で負債を増やし続けるなど苦しい状況に置かれてしまうこともあります。
このような事態を防ぐためにも、介護施設をこれから開設しようと考えるのなら、開業してからの余裕資金の確保、人員の確保、スタッフに負担がかかり過ぎない運営方法を構築することが必要となります。
介護ニーズは今後もさらに高まることが予想されていますので、突然介護施設が倒産してしまうと、利用者やスタッフの生活にも影響を及ぼすことになってしまうと改めて認識しておくべきでしょう。