訪問介護の介護事業者は、利用者のそれぞれの生活に合わせた掃除を行っています。
利用者宅の掃除のやり方を把握し、清潔さを保つことのできる快適な生活を可能とするようなサポートをするのが訪問介護のつとめといえるでしょう。
ただ、訪問介護においての掃除には、どこまで行うべきかという問題が起きることもあることに注意が必要です。
訪問介護で行う掃除は、利用者宅の居室・台所・トイレ・浴室・洗面所などがその範囲となり、それぞれの部屋の清掃から整理整頓・換気・室温調節などを行います。
掃除機やモップをかけ、床拭きや壁掃除の他、古新聞や分別ごみなどを所定の場所に出すといったことも必要に応じて行うこととなるでしょう。
利用者の生活習慣や考え方を理解・尊重した援助が必要なので、ヘルパーの意見などを押し付け利用者の生活習慣を急に変更するようなことは行ってはいけません。
利用者が必ずやってほしいと感じていることと、できればやってほしいことを見分け、優先的に必ずやってほしいことを行っていきます。
その中で、どこまでをサービスとして提供できるのか、提供できない部分との厳格な線引きも把握しておくことが必要といえます。
訪問介護でサービスを提供するヘルパーは、利用者が日常生活を営む上で最低限必要なサポートを行うことが原則とされています。
たとえば買い物なども、日常生活を送っている地域内の店舗などで購入する場合に限られます。
日常生活を送る上で必要ではない嗜好品や趣味に関係するものまで、買い物のサポートは行ってはいけないということです。
食料品やトイレットペーパーなど消耗品などは生活必需品のため特に問題ありませんが、たとえば酒やタバコは嗜好品となるため代わりに購入できません。
掃除も要介護者が使用する部屋のみが基本となり、窓ふきや換気扇などの掃除は日常生活に必要ではないため行うことができません。
庭の落ち葉を掃くことや庭木の手入れなども、日常生活を送る上での最小限には該当せず、掃除してあげたいとヘルパーが感じた場合でもサービス対象外です。
最小限の部分しか掃除できないと、だんだんと家が汚れてしまうことになるため、規則と利用者に対する気持ちで板挟みになることも少なくないとも考えられます。
訪問介護でサービスとして提供できない部分については、介護保険外のサービスを利用することもできるため、不足する部分を補うときには利用してもらうことも必要となるでしょう。