介護事業者の中には、異業種参入による企業で新しく価値創造を目指すといった動きが見られます。
介護施設を運営するだけでなく、介護用品の開発、介護施設への入所の取次などの相談サービスなど、間接的に介護分野と関わる事業に参入する企業も増えるなど、高齢者増加に伴い介護ニーズの高まりを感じとっているからといえるでしょう。
異業種参入により介護分野の課題が解消され、新たな価値や枠組みの創造は今後、介護業界が発展していく上で大切なことです。
近年では、いろいろな分野で新たな取り組みが導入されるようになっていますが、その一方で医療や介護などヘルスケア分野は一方的にサービスが提供されるイメージが強いといえます。
共創やイノベーションといった言葉とは縁が薄く感じる方も少なくないようですが、最近では介護におけるケアから自立支援までの共創意識が高まっています。
それに伴い異業種企業が新たに介護業界へと参入するようになり、共創による新たな価値が創造されるといった動きが広がりつつあるといえるでしょう。
事業規模が大きく資本力も十分ある異業種大手企業が介護施設を経営すると、本業の特徴や資本力を生かし利便性の高いサービスの提供が可能となります。
また、保険制度の持続可能性の向上につながるといった、価値創出の主体として期待されています。
経営管理体制強化により、介護人材の厚遇や設備投資など、介護業界の課題を解消する役割を果たす可能性もあります。
利用者にとっても大手という信頼感、そして充実したサービスが提供されることは魅力として感じられるでしょう。
ただ、中小の事業者などは、大手の存在に事業継続を脅かされるといった問題も出てきてしまいます。
介護とは関連性の低いと考えられていた異業種が、介護事業者へのサプライヤーになって技術や製品を開発するといった間接的参入も増えています。
流通・小売業のイオングループがベネッセスタイルケアの運営している介護施設に取次ぐサービスを提供するといったケースや、大手コンビニのローソンがケア拠点併設型店舗を運営し介護相談を受け付けるといったことがその例です。
また、ロボット介護機器や業務支援のICT機器など、介護現場で使用される製品や技術を開発する動きも目立ってきました。
現場に導入することで、人手不足が深刻化している介護業界の問題解消につながることでしょう。