介護福祉事業情報ラボNursing care work Information Lab

介護現場に外国人をスタッフとして迎え入れることで介護の質は変わる?

2019.11.17
分類:経営

介護業界は人材不足という問題を抱えていますが、その理由として挙げられるのが、現場で働くスタッフが労働に対する賃金が見合わないと感じることといえます。

スタッフの定着率を高めるためには労働環境の改善や賃金の見直しなどが必要となるでしょうが、現在のように人手が不足している中で、スタッフ一人ひとりが抱える負担を軽減し、賃金を改善させることは難しいのかもしれません。

そこで、まずは何とか人材不足の問題を解決しようと、外国人を介護スタッフとして受け入れる取り組みも注目されています。

外国人を実習生として迎え入れる制度とは

201711月から「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」が施行され、外国人技能実習制度により発展途上国の若者を介護スタッフとして迎え入れようとする動きも見られます。

介護現場で通用する実践的な技能や知識を学んでもらい、帰国した後で母国の経済発展に役立ててもらうことが本来の目的です。

この制度は製造業や農漁業などで実施されていましたが、新しく介護でも制度の適用が可能となっています。

ただ、この制度についてはこれまで、長時間労働に残業代未払いなど、労働や賃金に対する環境が劣悪であることを理由に、実習生が失踪してしまうといった問題も起きています。

そのため本当に外国人技能実習生を受け入れて大丈夫なのか、文化や価値観の違いなどでトラブルが起き、教育することができるのかと不安を感じることもあるようです。

 

介護現場で働くスタッフの働き方を見直すきっかけにも

介護の知識や技術を外国人の実習生に伝達することは、介護現場で働く方の日頃の業務を改めて振り返るよいきっかけにもなるはずです。

サービスの質を向上させるためには何が必要か、改めて考えさせられるヒントにもなりうるでしょう。わかりやすいように手順書を作成するための時間や手間はかかっても、一度作成すれば業務をその後、効率的に進めることもできるはずです。

 

人材確保だけの目的で制度を利用するべきではない?

介護サービスを提供することは単純な労働ではなく、意思疎通が困難な認知症の高齢者などを相手とすることもあります。

介護を行うためには実践する上での知識や技術が必要となりますので、その知識や技術を伝え、いずれは母国で習得した技能を活かしてもらえるような教育が必要となります。

ただ現場が人手不足だから外国人技能実習制度を利用して人材を確保したいだけ、と考えていては、実習生との信頼関係も構築できないでしょうし継続的な受け入れも難しいはずです。

 

一緒に成長できる環境づくりを

外国人技能実習生と現在介護現場で働くスタッフのどちらも成長できる環境づくりが望ましいといえます。

働きやすい職場環境を目指し、介護サービスの質を向上させることができるような制度の活用を検討しましょう。