特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの介護事業者は、介護現場の経営者ともいえる施設長や管理者を選ぶとき、どのような人材に任せればよいのでしょう。
介護現場では、利用者のケアを担当する介護スタッフの他、介護主任・副主任・リーダーなどがおり、さらにその上に施設長・管理者と呼ばれる役職が存在します。
施設長や管理者ではなく、所長やホーム長と呼ばれる方も同様に、施設全体の責任者となり経営者の立場として管理業務を行うことが求められます。
介護現場で働く施設長・管理者は、主に施設全体の管理業務を行うこととなりますが、詳しく分けると次のとおりになります。
・利用者の管理…利用者の既往歴や現病歴などの状態と、ケアプランの内容を理解して、適切なサービスの提供ができているか確認する。また、入退去の際に利用者とその家族との面談なども行う。
・職員管理…採用予定の介護職員の面接を担当し、保有する資格・能力に応じた人員配置を行う。問題が発生したときには、ケアプランや人員配置を見直す。
・運営管理…施設の運営方針やサービスレベルを策定しモニタリングする。遵守するべき法令なども把握し、行政関係と適正な関係を保つことができるように努め、広報活動や営業活動も実施する。
・収支管理…利用者との契約業務・保険請求業務・経費管理などを行う。収入源である介護報酬と、家賃・食費・共益費などの計算をして人件費など支出を調整する。
・行政管理…介護保険事業の届出内容に変更があったときには、10日以内に行政機関に変更届を提出する。介護保険事業者事故報告書や消防計画を作成・提出する。
介護現場で働く施設長・管理者に求められることは、施設全体をマネジメントする管理能力があるかどうかです。
現場に口を出しすぎず、介護スタッフや介護主任に現場を任すことができる姿勢も必要といえます。
最終的な責任の所在は施設長・管理者にあるため、現場を任せることに不安を感じる部分はあるでしょうが、スタッフを信用できる人間関係を築くことが求められます。
経営面では利益を生み出し、人材のマネジメントで成果を出すなど、まさに経営者として活躍できる人材が適任です。
介護現場は現在、人材不足が深刻化しており、施設長・管理者などは処遇制度や労働環境改善といった部分にも着手する必要があります。
それにより人を採用し定着させていけるかという手腕が問われるため、経営・管理・マネジメント経験のある方に任せたほうが安心です。