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介護事業者が役員報酬を決めるときに失敗しないコツとは?

2021.10.07
分類:経営

役員報酬とは会社の役員が受け取る報酬ですが、仮に個人事業主なら売上から経費を引いた残りを手取りとするものの、会社になると個人とは別人格となるため役員報酬としてお金を受け取る必要があります。

介護事業者でも、オーナー企業で役員は1人であれば、自由にお金を使えると勘違いしてしまいがちですが、会社と個人とは切り離して考えなければなりません。

そして役員報酬を無限大に金額設定できるわけではないため、決める手順から変更の方法などのコツを解説します。

役員報酬を決めるときの主な手順

役員報酬の決め方は会社法のルールに従う必要があるため、株主総会で報酬額を決定します。さらに、役員賞与を支給するなら、事前に税務署への届け出も必要です。

役員報酬は会社員の給与と似た部分が多く、税務の面でも給与所得に該当し、報酬額に応じた所得税と住民税が課せられます。

ただし、事業年度を通じて一定の金額を受け取ることや、役員賞与を支給するときには事前に税務署へ届け出ることの2点を守ることが必要とされ、守らなかったときには役員報酬を支給しても経費として計上できなくなる可能性があるので注意しましょう。

仮に経費として計上できなければ、法人税を多く支払うだけでなく、すでに支払われている役員報酬に対し所得税も負担するなど、税金の負担を重くするだけです。

なお、一度設定した役員報酬が多いと感じるときや少ないと感じるときにも、事業年度開始から3か月以内であれば役員報酬を変更することも可能とされているため、1年に1度であれば変えることができます。

 

中小企業の役員報酬の相場

役員報酬をどのくらの金額で設定すればよいかが悩むところでしょうが、報酬額は会社の規模や業種を基準に考えましょう。

同じ介護事業だとしても、大企業と中小企業では、同じ役員報酬でも受け取る金額の相場は変わってきます。

また、同じ規模の企業だとしても、業種によりやはり役員報酬の相場は違いがあります。

そのため、同じ会社規模や業種で設定されている役員報酬の金額を参考にし、報酬額を決めるようにするとよいでしょう。

仮に一般的な基準を大きく上回るような金額で役員報酬を設定している場合には、税務署が損金に計上することを認めない可能性も出てきます。

損金計上ができなくなれば、先に述べたとおり法人税と個人の所得税を二重に課税され、税金の負担を増やすことになってしまうため注意してください。