介護福祉事業情報ラボNursing care work Information Lab

介護業界に注目する資本家は増加中?増えるM&Aとその背景

2021.11.24
分類:経営

介護事業者は深刻な人手不足で悩まされていることが多いですが、経営基盤の安定や人材獲得を目指しM&Aを検討するケースも目立ってきました。

その際、資本家として資本を提供してくれる人を探さなければなりませんが、一見、難しそうに見える介護業界でM&Aが盛んに行われているのには理由があります。

そこで、介護業界でM&Aが資本家にも注目されている理由についてご説明します。

介護業界でM&Aが増えているその背景

介護業界でM&Aが増えているのは、介護業界自体の抱える課題が関係すると考えられます。課題を解決できれなければ廃業に追い込まれるため、M&Aを解決手段として選ぶ事業者も増加傾向にあります。

その課題として挙げられるのが、

・売上の大半を介護報酬が占めること

・人材不足が深刻化していること

・競合との競争激化

・後継者不足

などです。

売上の大半を介護報酬が占めている

介護業界の収益は、その半分以上が国からの介護報酬です。

介護保険の保険料を財源とする介護報酬が収益源となりますが、介護報酬は3年に1度改定されます。

ときにはマイナス改定になることもあり、その場合には受け取ることのできる介護報酬は減少します。

安定しているようで不安定な部分もある介護業界ですが、自社の努力で改善できる範囲も広いとはいえず、新型コロナの影響で倒産に追い込まれた事業者も少なくありません。

人材不足が深刻化していること

介護業界は慢性的な人材不足に悩まされていますが、高齢者は増加しているのに、介護現場で働く介護人材は増えていません。

むしろ離職率の高さと定着率の悪さで、介護職員1人にかかる負担は増す一方です。

また、中小規模の事業所では採用コストや人件費にお金をかけること自体が経営を圧迫することにつながるため、人を増やしたくても増やすことができない現状にも悩まされています。

競合との競争激化

異業種の新規参入が相次ぐ介護業界では、以前よりも競争が激化しており、資金力のある大企業などに利用者を奪われることもめずらしくありません。

その結果、小規模な事業所は撤退を余儀なくされることとなり、廃業を検討する介護事業者も多くいます。

後継者不足

介護業界だけでなく、経営者の高齢化で廃業を検討する事業者は増えています。

後継者候補となる人材がいれば事業承継により引き継いでもらうことはできるでしょう。

しかし実際には、若い世代に人気のない介護業界を引き継ぎたいと考える人材もおらず、倒産や廃業に追い込まれる企業が後を絶たない状況です。