介護事業者として介護施設を経営したいと考えたとき、どのような法人格を選ぶべきか悩むケースも少なくないようです。
しかし法人格といっても、株式会社だけでなく合資会社と合同会社などの持分会社などがあり、種類が多くそれぞれ違いがわからないこともめずらしくありません。
特にわかりにくいのが合資会社と合同会社、そして合名会社などの持分会社ですが、それぞれどのような法人格なのか、株式会社との違いなど押さえておきたいポイントを説明します。
株式会社と合同会社・合資会社・合名会社など持分会社は、共通する部分もあれば相違点もあるため、どのような違いがあるか確認していきましょう。
仮に株式会社が経営難に陥ったとき、その責任は役員や社長が負わなければなりません。
しかし持分会社のときの責任は、社員の経営権に関わってきます。
株式会社の所有権は株を保有する株主にありますが、持分会社の所有権は出資した社員にあるため、持分会社のほうが自由な経営が可能で組織運営も柔軟であることが特徴です。
しかし自由度の高さがメリットである反面、会社経営に関わり利益分配の権利を保有する社員同士でトラブルが起きるリスクは株式会社より高いと考えられるでしょう。
社員は「無限責任社員」と「有限責任社員」に分かれますが、責任の範囲が有限か、それtも限りなく無限に負うのかを意味しています。
合同会社の場合は有限責任社員が出資した金額を上限に責任を負います。
合名会社の場合は社員の全員が無限責任社員となり、無限責任社員と有限責任社員が混在するのが合資会社です。
株式会社と持分会社では、定款に必ず記載しなければならない絶対的記載事項も異なります。
株式会社の場合は、
・目的
・商号
・本店の所在地
・設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
・発起人の氏名または名称及び住所
の5つを必ず記載することが必要です。
これに対し持分会社の場合には、
・目的
・商号
・本店の所在地
・社員の氏名または名称及び住所
・社員が無限責任社員または有限責任社員のいずれであるかの別
・社員の出資の目的(有限責任社員にあっては金銭などに限る)およびその価額または評価の標準
の6つを記載しなければなりません。
持分会社のほうが設立にかかる費用は低く、一般的には約14万円、費用を抑えることができます。
さらに持分会社であれば決算公告は不要なので、ランニングコストを抑えることができるでしょう。
株式会社と持分会社では知名度が異なり、株式会社のほうが信用力は高くなるといえるでしょう。
持分会社は社会的信用が低いため、将来的に出資を募ることが必要となれば、デメリットになるとも考えられます。