介護施設には身体的に不自由な状態である利用者だけでなく、たとえば認知症の方など精神的に不安定な状態の利用者も生活しています。
そのため、中には認知症の利用者から暴言や暴力を受けてしまう介護スタッフもいるようですが、どのように対処すればよいか悩むこととなるでしょう。
そこで、認知症による暴言・暴力にはどのように対処すればよいのか、適切と考えられる対応法について解説していきます。
認知症のすべての方が、暴言や暴力などを起こすわけではありません。
また、認知症が進行すれば必ず見られる行動ではありませんが、中には家族が認知症となり暴言や暴力などを起こし悩まされるケースもあります。
認知症の方が暴力・暴言に至る原因はいろいろですが、複数の要因が重なることで起きてしまうようです。
そのため暴言や暴力につながる原因は何か推測し、解消することができれば暴力や暴言を防ぐことが可能とも言い換えることができます。
仮に認知症の方に暴言や暴力などが見られたときには、力や言葉で無理に対抗することはやめましょう。
自己防衛するために仕方のないケースもありますが、抑えつけや叱りつけなどは双方に深い傷を残し、状況を改善させることにつなげることはできません。
暴言や暴力に怒りや憎しみを感じても、それはおかしなことではなく、どれほど愛情をもって介護をしていても見られるケースはあるため、介護をしている家族が自身を責める必要はないと認識しておいてください。
認知症の方に暴言や暴力が見られたときには、過敏に反応せず次の対応をとるようにしましょう。
暴言や暴力に巻き込まれないように、物理的に距離をとるようにします。
物理的に距離をとったら、感情をクールダウンさせましょう。
誰かに相談することが一番ですが、日記やノートに記録しておくことで感情を落ち着けることができます。今後誰かに相談するときの資料としても使えるので、記録しておくとよいでしょう。
暴言や暴力を起こしてしまう本人がどのような状況に置かれ、今後、どうするべきか本人にわかりやすく伝えていきましょう。
その際、コミュニケーションをとる上で次のことに注意してください。
本人は常に悪戦苦闘しながら現実を理解しようとしているため、もしも現実とのズレがあったとしても否定しないことが大切です。
できないことも「できる」と主張し、実際にやってみたときできなかったとしても、そのことを指摘されたり否定されたりすれば自尊心は傷つきます。
相手の自尊心を傷つけない言動を心掛けましょう。