介護福祉事業情報ラボNursing care work Information Lab

介護事業所の時間外労働とは?所定労働時間と法定労働時間の違いを解説

2023.07.26
分類:総務

介護事業所で発生する時間外労働とは、労働基準法で定めのある法定労働時間を超えた労働とその時間のことです。

介護事業者と介護スタッフの間で働くことを取り決めた所定労働時間ではなく、法律で定められた法定労働時間が時間外労働の対象となります。

そこで、介護事業所の時間外労働と、所定労働時間と法定労働時間の違いについて解説していきます。

時間外労働とは

時間外労働とは、労働基準法における法定労働時間を超えた労働とその時間です。

介護事業所は人材が不足がちであるため、つい介護スタッフに勤務時間を過ぎても残って仕事してほしいと求めたくなるものですが、従業員に時間外労働を課すことは労働基準法によって禁止とされています。

ただし、36協定(労働基準法第36条に基づく労使協定)を締結していれば、例外として時間外労働が認められます。

時間外労働についてより理解を深めるため、混同しがちな次の2つについて確認しておきましょう。

・所定労働時間

・法定労働時間

それぞれ説明していきます。

所定労働時間

「所定労働時間」とは、事業者側の定めた労働時間であり、始業から就業までの時間から休憩時間を差し引いた時間です。

法定労働時間を超えた設定はできないことと、残業代支払いの対象となるのは法定労働時間を超えた労働であることは注意しておきましょう。

法定労働時間

「法定労働時間」とは、労働基準法で定められた働く時間であり、原則、18時間・1週間40時間と定めがあります。

さらに少なくても週1日または4週間で4日以上の休日を付与することも義務付けられています。

なお、従業員が時間外労働するときには、労使間で36協定を締結し労働基準監督署長に届出しておくことと、残業代に対する割増賃金を支払うことが必要になります。

時間外労働の上限時間

企業が従業員に時間外労働を課すためには、36協定の締結と順守が必要となります。

36協定とは、「労働基準法第36条に定められた労使協定」のことであり、正式名は「時間外・休日労働に関する協定届」です。

従業員に法定労働時間を超えて働いてもらうときや、休日での労働が必要なときには、36協定を労働組合または労働者の過半数を代表する者と結んで労働基準監督署長に届出しておくことが必要になります。

ただ、36協定を締結すれば無限に残業できるわけではなく、時間外に働くことのできる上限時間を守ることが必要です。

時間外労働の上限は月45時間・年360時間までとされていますが、繁忙期や緊急などの事情があるときには「特別条項付き36協定」を労使間で結ぶことにより、上限を年960時間まで引き上げることができます。