近年では介護職員の処遇改善などの施策が打ち出されるなど、介護職員の昇給が期待されていますが、制度により本当に給料が上がるのか気になっている方も少なくありません。
そこで、なぜ介護職員の給料は上がることが期待されるのか、国が打ち出している施策の内容について解説していきます。
日本は高齢化社会が進んでいるため、今後はさらに介護スタッフの需要が高まると考えられます。
国も不足する介護スタッフ確保や定着のために、介護職員の賃金を上げる政策を実施するなど、様々な取り組みを行っています。
介護職員の賃金を改善する国の政策として、
・介護職員処遇改善加算
・介護職員等特定処遇改善加算
などが挙げられます。
厚生労働省が公表している「令和2年度 介護従事者処遇状況等調査結果」を見ると、2019年から賃金を引き上げた施設は66.1%で、介護職員の待遇は改善されていると考えられます。
そもそも「介護職員処遇改善加算」とは、キャリアパス要件や職場環境要件などの条件を満たす施設や事業所に対し、職員の給料を上げるため介護報酬を加算する制度となっています。
満たす要件が多ければ多いほど、加算される金額は増えるため、有効に活用するとよいでしょう。
そして介護の経験やスキルが高い護職員の処遇を改善しようと設けられた制度が「介護職員等特定処遇改善加算」で、勤続10年以上の介護福祉士を対象として月8万円相当の処遇改善を実施するため設けられた制度です。
2021年11月19日の閣議決定では、「介護職員処遇改善臨時特例交付金」を新設し、2022年4月から福祉・介護職員を対象として収入を月額9000円引き上げる処置を実施するとしました。
対象となる期間は2022年2〜9月までとされているものの、10月以降も続けて賃金が改善されることが予定されています。
対象は介護施設で働く介護職員で、看護職員・リハビリ職員・介護事務員は含まれませんのが、事業所の判断で他の職員にも処遇改善できる柔軟な運用を認めるとしているため、職員の定着を図るためにも検討するとよいでしょう。
なお、他の職種の職員も支給対象とするときには、常勤換算で算出された介護職員の人数分の報酬に振り分けられることから、すべてのスタッフが9000円賃上げされることにはならない可能性があります。
ただし補助額の3分の2以上を収入のベースアップなどに使うことが要件なので、スタッフごとに差はあっても賃金アップに繋げることはできます。