定年を迎え、これまで長く働いてきた職場を退職したシニア世代の中には、まだまだ元気で働けるという方がたくさんいます。
リタイア後の職業として介護職を選んではどうかと考える方もいるようですが、実際に60代や70代などシニア世代と呼ばれる方たちが介護職従事者となるケースは少なくありません。
自らが介護を受ける立場となるかもしれない年齢なのに、シニア世代でも介護職の現場で働くことができるのだろうか…と不安を感じることもあるようですが、基本的に年齢制限などはない業界なので介護職に就くことは可能ですし、大切な人材として注目されるようになっています。
介護現場で働く上で、資格を取得しておいたほうがよい場合もありますが、無資格でも十分可能です。
ただ、資格を持っていない場合には、食事の準備や掃除、洗濯、買い物、利用者の話し相手など、生活援助の範囲までの業務に留まることになるので、食事や入浴、排泄の補助など身体介護は介護職員初任者研修以上の資格が必要になります。
なお、介護職員初任者研修の資格取得には年齢制限などはありませんので、シニア世代の方がこれから取得することも可能です。
利用者の多くは高齢の方なので、年齢差がないシニア世代の方のほうがコミュニケーションは取りやすく、利用者も安心して任せやすいという点でも、実はシニア世代の方のほうが介護現場は働きやすいことが特徴です。
ただ、本格的に資格を取得し、身体介護まで行う場合にはどうしても体力面で問題が出てくることとなるでしょう
身体を動かすなど力が必要になる業務が多く、さらにシフトにより昼夜が逆転する深夜勤務などが入れば、慣れない間は体力が持たないということもあるようです。
さらに介護業界は慢性的に人手不足が続いているため、スタッフ1人が負担する仕事量が多い場合もあるので、シニア世代では若い世代よりも体力的な負担が大きく感じる可能性があります。
2012年10月に実施された労働者派遣法改正により、現在、日雇い派遣の短期雇用は禁止されている状態です。ただ、60歳以上の方については日雇い派遣でも特例として可能という扱いになっています。
継続して働くことは厳しいけれど、1日単位の日雇い派遣なら大丈夫というシニア世代もいるでしょうし、特に東京や大阪など都市部では60歳以上のシニア派遣の規模も拡大されている状況です。
平均寿命が年々上がり、人生100年時代という言葉を耳にすることが多くなった日本では、60代や70代はまだまだ活躍できる人材として認められつつあります。
すべての企業でリタイア後の再雇用制度が整備されているわけでもないため、今後、働き先を探しているシニア世代にとって、介護現場は第2の人生の大きな生活の糧となるのかもしれません。