住宅型有料老人ホームを経営しているとき、財務改善するためにはどのようなことをポイントに見直しすればよいのでしょう。
近年では、新型コロナウイルス感染拡大の影響などにより、新規の入居者を獲得できないことに悩む介護事業者も少なくありません。
そこで、住居型有料老人ホームを経営している介護事業者が、財務改善に向けて押さえておきたいポイントについて説明していきます。
住宅型有料老人ホームの財務改善を図るのなら、まず経営者が行う必要のある財務上の3つの役割について理解しておきましょう。
①売上を拡大させ支出を抑制し、利益を最大化させること
②利益を源泉としたキャッシュフローを生み出し適切な配分を行うこと
③健全な財務状態確保のために、財務構造を把握し財務能力と決済能力を管理すること
そして財務改善していくためには、その前提として次の3つを行うことが必要となります。
・今の財務状態を正確に把握すること
・健全な財務状態について、関係者間で認識を一致させること
・健全な財務状態に近づくための施策を立て実行すること
介護事業は売掛金の9割は国保連から受け取る報酬のため、公共機関が相手となることから貸し倒れリスクはないといえます。
しかし報酬が入金されるのは翌々月末となるため、先に様々な支払いが発生します。
けっして資金繰りが楽な業種とはいえず、財務体質が悪化していても具体的な対策を打ちにくいともいえるでしょう。
まずは、財務体質が悪化している原因として、考えられる次の3つを確認してみてください。
・利益が減少している(売上減少・固定費増加・変動費増加など)
・キャッシュフローが減少している(売上減少・回収の遅延・支払の増加・借入返済の増加)
・資産効率が悪化している(売掛金の増加・空室の増加・利益を生まない資産の増加)
財務改善に取り組まなかった場合、利益が減少したままです。
仮に売上が拡大した場合でも、回収状況が悪いままではキャッシュフローは不足します。
さらに財務状態の悪化で金融機関から融資を受けることもできなくなり、資金調達にも支障をきたすこととなるでしょう。
必ず財務改善には取り組むことが必要といえますが、資金調達の際には必要となる運転資金の目安も次の計算式で把握しておきましょう。
「必要運転資金=売掛金+棚卸資産-買掛金」
利用者さまの要介護度が変わったときの再請求や、月遅れの請求などで資金不足を生じさせてしまうこともあるため、早めに報酬を請求できる業務の流れを確立させることも必要です。