介護事業者が知っておきたいのは、「安全対策担当者」の選任が2021年4月に義務化されたことについてです。
経過措置も一定期間設けられていましたが、現在ではすでに義務化されているため、なぜ義務になったのか、その役割などについて説明していきます。
2021年度(令和3年度)からは、介護保険施設の運営基準で安全対策担当者の選任が義務化されています。
その背景には、介護施設の利用者が転倒や誤嚥による介護事故を起こさないためであり、従来までの介護保険施設による運営基準では不十分とされたからです。
リスクマネジメントとしての運営基準は、介護事故の予防・再発防止への対策といえますが、安全対策担当を専任で配置している特別養護老人ホームは約半数程度でした。
そこで、安全対策担当者を配置することを義務化し、より介護事故予防を強化したといえます。
介護報酬に「安全対策体制加算」が新設され、安全対策体制が整備されている施設は評価されることとなります。
2021年度の介護報酬改定で新たに設けられた安全対策体制加算の算定要件は、次の3つすべてを満たしていることが必要です。
・外部で研修を受けた担当者の配置
・施設内に安全対策部門を設置
・安全対策を実施する体制の整備
加算の対象となる施設は。
・特別養護老人ホーム
・介護老人保健施設
・介護療養病床
・介護医療院
です。20単位加算で入所の際1回に限り算定できます。
なお、「安全管理体制未実施減算」も新設されており、算定要件は運営基準における事故発生・再発防止の措置が講じられていないときが対象です。
安全対策担当者の役割は、介護事故の発生予防と再発防止への取り組みです。
具体的には、次のようなことを実施していきます。
・事故発生・防止のための指針を整備する
・事故発生の際の報告と、分析を通じた改善策を従業員に周知徹底する体制を整備する
・事故発生防止を目的とした委員会設置と研修の定期的な実施
これらのリスクマネジメントを安全対策担当者が中心となり実施することになりますが、
担当者がいない施設は1名を配置することが必要です。
選定基準として資格などの保有といった条件もなく、施設の判断に委ねられています。
また、専任ではあるものの安全対策のみ対応するスタッフを雇用しなければならないわけではなく、介護職と兼務することもできます。