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ベテラン介護士なら給与はアップする?特定処遇改善加算について簡単に解説

2023.05.11
分類:総務

介護施設で介護士として働き続けていれば、いずれ給料は上がるだろうと期待してしまうものでしょう。

 しかし実際には、激務で休みは取りにくい仕事であるのにも関わらず、賃金が見合わないという不満の声も出ているようです。

 そこで、201910月に「特定処遇改善加算」が施行され、ベテラン介護士の給与アップについて定められました。

 ベテラン介護士になれば本当に給与はアップするのか、特定処遇改善加算について簡単に説明します。

特定処遇改善加算とは

 「特定処遇改善加算」とは、介護職員の処遇改善を目的とした制度で、201910月に創設されました。

 2022年度の介護報酬改訂では、介護職員処遇改善加算や介護職員等ベースアップ等支援加算とともに、介護職員の処遇改善に向けた柱となっています。

 他の職種よりも離職率の高い介護士という仕事に、長く就いてもらい高齢化社会を支えてもらうために、離職理由の一部を占める収入の低さを改善させることが目的です。

 特に経験と技能がある介護士が定着することが必要となるため、特定処遇改善加算ではベテラン介護士が長く働けるような取り組み内容となっています。

 そのため特定処遇改善加算の対象となるのは、勤続10年以上の介護福祉士です。

 ベテランの介護福祉士1人につき、月収8万円または年収440万円へと賃上げし、定着率を向上させること目的とします。

 介護事業者が受け取った加算額すべてを1人のベテラン介護士に配分することも可能ですが、その他の介護職員や介護職員以外の職員へ配分もできます。

 ただ、ベテラン介護士のうち1人以上は、月収8万円または年収見込みが440万円以上にならなくてはならないとされています。

  

特定処遇改善加算創設の背景

 特定処遇改善加算が創設された背景として、主に次の2つが挙げられます。

 ・高齢化が急激に進んでいる

・仕事と賃金が見合っていない

 それぞれの背景について説明していきます。

  

高齢化が急激に進んでいる

 日本は高齢化が急激に進んであおり、2036年には国民の3人に1人が高齢者になると推計されています。

 そのため経験や技能の高い介護職員が必要であり、介護の担い手を増やすことが急務です。

  

仕事と賃金が見合っていない

 介護職員の賃金は、平均的な労働者よりも低めであり、激務で身体的・精神的な負担は大きいのに賃金と見合わないと感じ、離職してしまうケースが少なくありません。

 また、感染症やケガ・腰痛などのリスクも高い仕事であるだけでなく、利用者の生命にかかわる業務などでプレッシャーや責任を感じる仕事でもあります。

 そのような仕事に適切に対処できるベテランの職員には、賃金面で報いることができる制度が必要になったといえます。