介護施設によっては、入居一時金を入居したタイミングで一気に償却する「初期償却」を行うケースもあります。
初期償却による介護施設に入居すると、すぐに退去した場合でも支払った一時金を払い戻してもらうことはできません。
初期償却とは施設側が利益を確保する上での金額ともいえますが、たとえ初期償却を行う施設であっても、入居一時金が返還されるケースについて解説していきます。介護施設の入居一時金とは、一定期間の月額利用料を事前に支払っておく前払金であり、想定していた期間より早期退去が決まれば、経過していない期間分については返還されることが多いといえます。
その中で介護施設の償却とは、前払金として支払った一時金のうち、毎年分割して家賃に充てることです。
償却期間とは、入居一時金を入居期間に応じ返還するため設定した想定入居期間であり、介護施設によって何年に設定しているかは異なります。
償却期間内の退去における一時金の返還については、それぞれの介護施設により取り決めを行い定めているものの、入居段階で十分に説明ができていなければ利用者と事業者の間でトラブルになる可能性が高いといえます。
支払った一時金の返還については、契約段階で丁寧に説明を行い、納得してもらった上で契約締結することが重要といえるでしょう。
一時金の償却方法には、次の2つの方法があります。
・定額償却
・定率償却
定額償却は月で割って一定額を償却する方法であり、対する定率償却は所定期限ごとに同率額を償却します。
年間で償却する金額を見た場合、定額償却の方が低くなるため、早期退去のときよりも多い額が返還されると考えられます。
介護施設の初期償却とは、入居の際に支払った入居一時金のうち、10~30%など返還されない部分です。
たとえば有料老人ホームの入居一時金のうち、入居後91日目には10~30%などが初期償却されると、入居後すぐに退去しても初期償却分は払い戻してもらうことはできません。
ただし有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅と結んだ契約もクーリングオフの対象となります。
クーリングオフとは、契約の申し込みや締結をした後でも、契約再考できるように一定期間において無条件で申し込み撤回や契約解除を可能とする制度です。
有料老人ホームに入居後90日以内の契約解除については、入居者に一時金全額を返還することが必要となります。