労働災害が起きたことで介護を必要とする状態になった場合、労災保険の介護補償給付を受給できます。
介護保険が適用される場合においても、労災保険の介護補償給付が優先して適用されることとなり、重複しない部分については介護保険から支給されます。
そこで、労働災害に遭ったときの補償として受け取りが可能である介護補償給付とはどのような制度なのか解説していきます。勤務中や通勤中に災害に遭ったときには、労働災害となるため労災保険の給付対象となります。
労働災害は次の2つの種類に分けることができます。
・業務災害
・通勤災害
それぞれの災害について説明していきます。
業務災害とは、労災保険適用事業場に雇用され、事業主の支配下にある労働者が遭った業務を原因とした災害です。
業務上の負傷または疾病が業務災害に該当しますが、労働者の業務や職場施設・設備の管理状況が不十分であるときに起きると考えられます。
通勤災害とは、労働者が通勤している途中で起きた災害であり、次の要件に該当することで認められます。
・住居と就業場所との往復で起きた災害
・就業場所から他の就業の場所に移動しているときに起きた災害
・単身赴任先と家族が住む住居間の移動で起きたい災害
さらに、就業による移動であり、合理的な経路と方法で移動していたことも必要となります。
労働災害でケガが完治せず、介護を必要とする状態になってしまったときには、介護補償給付の対象となります。
ただし、被災労働者が常時介護を必要とする状態なのか、それとも随時なのかで給付内容は変わってきます。
まず常時介護を必要とする状態とは、次に該当する場合です。
・精神神経・胸腹部臓器に障害を残す状態
・両眼の失明とともに障害または傷病等級第1級・第2級の障害がある場合や、両上肢および両下肢が忘失または用廃状態であるなどの介護を要する状態
一方の随時介護とは、次に該当する障害の状態です。
・精神神経・胸腹部臓器に障害を残す状態の場合
・障害等級第1級または傷病等級第1級に該当するものの常時介護が必要な状態ではない場合
介護保険の場合、要介護認定・要支援認定を受けなければ利用できません。
労災認定を受けた方が要介護状態になった場合、労災保険と介護保険では、重複しない範囲で調整され利用できる仕組みとなっています。
介護補償給付など労災保険で給付される範囲では、介護保険で給付されることはなく、二重どりできない仕組みになっているため注意しましょう。