人事異動とは、企業が人事権を行使し従業員の配置や勤務条件を変えることですが、規模の大きな介護事業所などでも行われることはあります。
介護施設で働く従業員にとって、人事異動があれば働く環境が大きく変わることになるため、明確な目的のもとで慎重に配慮した上で決めることが必要です。
明確な目的も配慮もない一方的な人事異動があれば、離職率を高めることとなり、ますます人材不足に悩むことになるでしょう。
そこで、介護事業所で行われる人事異動について、その種類や辞令を出す適切な時期などについて説明していきます。人事異動には、主に次の2つに分けることができます。
・企業内の人事異動(企業内で職位を変えるなどの異動)
・企業間の人事異動(出向や転籍などグループ企業内での異動)
さらに細かく分けた場合には、次の種類に分類されます。
・部署異動(事業所内で所属部署が変わる異動)
・転勤(転居を伴う異動)
・昇進(昇進など職位が上がること)
・降格(降格など職位が下がること)
・出向(勤務会社に在籍したまま一定期間のみは別法人で勤務するなど)
・転籍(在籍会社と雇用契約を解除し異動先会社と新たな雇用契約を締結する異動)
人事異動は、事業者側の都合で決まるため、就業規則に定めがあれば業務命令として扱われます。
業務明利である以上、従業員は正当な理由なく拒否はできません。
仮に従業員が拒否することで異動命令が撤回されれば、不公平感により組織運営に支障をきたす可能性もあります。
従業員が業務命令に従うことが原則である以上は、嫌がらせで配置転換したり見せしめで出向させたりすることはしてはいけません。
人事異動を辞令として従業員に内示するのは、2週間から1か月前が望ましいといえます。
特に転居を伴う転勤については、引っ越しなども必要となります。
さらに家族も一緒に転居するときには、子どもの学校などの手続なども必要となるため3~6か月前には内示を出すことが理想ですが、一般的には遅くても1か月前には内示を出すことが必要です。
従業員に対する内示は、後に正式な辞令として異動を告げられることを意味します。
働く場所が変わる人事異動では、辞令前でも異動先の人事部と連絡を取ることも必要になるため、現勤務先とのスムーズな連携も必要であると理解しておきましょう。