介護現場における服務規律とは、介護事業者と従業員との間で取り決めた約束を明文化したルールであり、企業秩序に関して労働者が守らなければならないことです。
介護事業者の中には、たとえば一度取り決めた服務規律の見直しを検討している場合や、服務規律違反に該当する行為なのか確認したいなど、いろいろな悩みを抱えていることもあります。
そこで、介護事業所の従業員に対する服務規律と、就業規則との違いについて解説していきます。
「服務規律」とは、業務を遂行する上で従業員が守らなければならない義務やルールです。
会社組織の一員としてあるべき姿や取るべき行動について規定した行動規範ともいえます。
服務規律を規定することは義務付けられているわけではないものの、組織のコンプライアンス遵守のためには必要といえるでしょう。
「就業規則」とは、事業者と従業員で決めた約束を明文化したルールです。
記載事項として、休日や就業時間などについては「絶対的必要記載事項」として明記することが義務付けられています。
事業者が任意で取り決めた賞与や表彰・制裁などについては、明記することは義務付けられていないため、「相対的必要記載事項」として扱われます。
この中で服務規律は、「相対的必要記載事項」の1つであるため、就業規則の一部と言えるでしょう。
服務規律の目的は、企業秩序維持を図ることです。
そのため内容としては、事業や企業文化に応じて自由に決めることができるものの、労働基準法や就業規則と矛盾する内容であってはなりません。
基本的には次の3つを服務規律として記載することになります。
・労務提供のあり方(無断職場離脱の禁止や業務上の指揮命令に従うこと、ハラスメントの禁止、遅刻・早退・欠勤についてなど)
・職場環境維持(無許可で施設を利用することや喫煙の禁止など)
・業務外活動(秘密保持や副業(兼業)の可否、誹謗・中傷の禁止など)
服務規律は就業規則に条文として明記することが一般的であるものの、たとえば「服務規程」や「誓約書」などで別に定めることも可能です。
就業規則内に規定せず、別途定めた場合でも、扱いは就業規則の「相対的必要記載事項」となるため、内容を変更するときには労働基準法の就業規則変更手続を必要とします。
従業員代表から意見書をもらうことや、労働基準監督署に就業規則の変更の届出を行うことを忘れないようにしてください。