介護事業者は、現場で働く介護スタッフが有給休暇を取得しやすい環境を整備することが必要といえますが、その1つとして考えられるのが時間単位の有給休暇付与です。
時間単位の有給休暇を付与することにより、介護スタッフが有給休暇を取得しやすくなり、取得率向上も期待できます。
そこで、介護事業者が年次有給休暇を時間単位で付与することはできるのか解説していきます。
年次有給休暇の時間単位付与とは、本来であれば1日や半日単位で取得してもらう有給休暇を、時間単位で取得できるようにするための制度です。
労働基準法の計画的付与として時間単位年休を与えることはできないため、時間単位の有給休暇を付与制度は事業者の義務ではなく、制度として導入されているかはそれぞれ異なります。
ただ、日本での有給休暇取得率は低いため、時間単位の有給休暇取得を制度として導入することで取得率向上が期待できます。
半日に満たない細かな時間で有給消化が可能となれば、短い時間での用事などにも対応しやすくなり、仕事の効率化にもつながると考えられます。
なお、制度として導入する場合には、就業規則に規定し労使協定を結ぶことが必要です。
有給休暇取得を積極的に促すためには、時間単位で有給休暇を付与することも必要となるでしょう。
ただ、すべての日数を時単位で消化することは認められておらず、時間単位付与の上限時間は1年間合計5日分までとされています。
時間単位付与のメリットとして、まずは有給休暇取得率が上がることが挙げられます。
業務への影響を最小限に抑えることができれば、休みにくさを感じている方でも取得しやすくなるでしょう。
通院などで数時間のみ仕事を抜けたいという場合でも対応が可能となるため、1日休むことに抵抗がある場合でも有給消化しやすくなり、働きやすい職場整備につながります。
時間単位付与のデメリットとして、管理が複雑になることがデメリットです。
日数でのみ管理すればよかった有給休暇が、時間による管理も加わることになれば、事務的な負担は増えることになります。
さらに制度として導入することで、反対に1日単位で有給休暇を取得しにくくなる可能性も否定できません。
まとまった休暇を取得したいときに言い出しにくくなれば、有給休暇本来の目的から逸れることになるため、慎重な扱いが必要です。