介護施設を運営している事業所では、介護保険制度が開始されたことで介護を必要とする方が増えたものの、スタッフを増員できず人手不足に悩みを抱えているという状態が続いています。
仕事がハードなのに給与水準が低いといった待遇や職場環境から、人材不足を招いているといえますが、そのような中でも従業員教育は適切に行うことが必要です。
教育体制を整備し、スタッフのモチベーションを向上させるためにも、従業員教育を実施できる環境を整え、人材を今以上に不足させないようにすることが大切といえます。
介護事業者の半数以上は民間企業が運営しており、人材確保のために求人を出し常に応募し続けているというケースも少なくありません。
介護人材を育てる養成学校などと縁がある民間企業なら、介護の知識を備えた学生を新卒で採用することもできるでしょう。
しかし縁のない企業などは、特に専門知識のない方を採用し、一から育てることが必要となります。
今後ますます増えると予想される介護施設と、サービスの質で差別化を図る上でも、従業員教育を充実させスキルアップしてもらうことは大切です。
そして従業員教育を充実させることは、介護スタッフにも安心や自信を与えることになり、結果としてサービスの質を向上させることへとつなげることができます。
介護施設などで実施されている従業員教育はいろいろありますが、その中でもメインになるのが次の研修です。
ディスカッションを通し、積極的にチャレンジしていく精神を養うために行います。介護施設は利用者とのかかわりだけでなく、同じ現場で働くスタッフや様々な専門職の方とも連携が求められます。そのため周囲とのコミュニケーション力を高め、チームとして協力できるための意識を身につけてもらうために必要な研修です。
ホスピタリティに対するニーズが高い業種のため、好感を抱いてもらえる挨拶や対応、配慮できる言葉遣いや行動などを身につけてもらいます。
介護施設の利用者やその家族からクレームが発生したとき、対応方法を間違えてしまうと問題が大きくなりがちです。
そのため、クレームに適切に対応するためにも、相手の心情を知り聴く姿勢を保つことが必要ということから教育していきます。
他にもパソコンやスマートフォンを使って、利用者の食事・排泄・入浴・車椅子や歩行の介助法などを学んでもらうことや、ケア技術のスキルアップ研修として移動技術や口腔ケア、ポジショニングなどを実技や理論から学んでもらうという流れです。
介護従事者のための救急法なども取り入れながら、様々な研修を行っていくこととなるでしょう。