今、人材不足に悩む介護事業者は少なくありませんが、離職につながりかねないのが利用者や家族などから事業者に対するハラスメントです。
スタッフを守る体制づくりが必要といえますが、まずは事業者としてスタッフに対しどのような態度で接するべきかご説明します。
利用者・家族などから事業者に対するハラスメントがあったとスタッフから相談されたとき、介護事業者はどのような対応を行っているでしょうか。
もし介護現場のスタッフから相談を依頼されたとき、その日のうちに面談を行って対応することが原則です。
なぜなら、相談を依頼したスタッフはそれまで我慢が続いていた可能性もあるため、相談を持ち掛けられた時点で事態が悪化しているとも考えられるからといえます。
また、事象が急速にエスカレートする可能性も考えられるため、一旦放置すると他のスタッフにも被害が及ぶことことが懸念されます。
たとえ緊急性は高くないため日を改めてもよいと申し出があった場合でも、当日中に対応するようにしましょう。
面談は2人体制で対応することが望ましく、もし被害により精神的なダメージを受けていると感情の吐露が先行しがちとなるからです。
被害を受けたスタッフの感情に流され客観的に事態を把握できなくなる可能性を考えると、1人はスタッフをねぎらいながら精神面をサポートするようにし、もう1人は客観的な情報を聞き取ることだけに集中したほうが良いと考えられます。
具体的に起きていることを聞き取り、スタッフのショック状態によっては提携する産業医の同席を求めることや、専門のカウンセラーの協力をあおぐことも必要です。
また、被害の訴えが実態よりも過剰になっていないか注意は必要ですが、スタッフの訴えを否定する態度を出せば信頼関係が崩れることとなるため、他のスタッフなど第三者の目撃証言などを収集しながら実態に迫るといった対応も求められるでしょう。
仮に被害を受けたとされるスタッフの訴えが誇大だった場合でも、スタッフを責めるのではなくダメージを負った心理状態では十分あり得るといった態度を崩さないようにしてください。
スタッフに対する継続的なフォローを進めながら、組織として実態を掘り下げて対応を進めていくことが必要となります。