介護福祉事業情報ラボNursing care work Information Lab

介護施設経営の零細企業が厳しい状態にある理由とは?

2022.10.14
分類:リスク

介護施設を開設・運営する多くは中小や零細企業などですが、今、大変厳しい状態にあるといわれています。

その背景にあるのが人材不足の問題であり、零細企業では資金力にも限界があるため、スタッフのキャリアパスなども用意が難しいことが挙げられます。

将来性などを考え、退職してしまうスタッフなどが増えてしまいがちといえますが、大手ならできることでも零細には厳しいことがいろいろあります。

そこで、介護業界の現状を知っておくにも、零細企業が今どのような状態にあるのか理解しておきましょう。

処遇改善も効果なし?

201910月から、介護保険サービスの報酬引き上げにより、経験がある介護スタッフの賃金を向上させる処遇改善も始まりました。

人手不足が深刻化する介護業界の問題を解消するための取り組みであり、経験値の高い介護スタッフが長く現場で働くことができる仕組みをつくるためです。

しかし実際には、中小・零細の介護事業所で、この施策が人手不足解消につながっているかというと、そうではありません。

介護人材は大手や中小、零細を問わず獲得の競争が激化しています。

大手であれば求人募集も有利な条件を記載しやすいですが、中小・零細企業では資金や人員にも余裕がなく、大手ほどの好条件で求人を出すことはできません。

人員が集まらない状態で既存のスタッフの処遇を改善しても、人を増やすことにはつながらないという見方もできるでしょう。

 

規模の小さい事業所は新型コロナ関連破綻

介護事業所への打撃は、新型コロナウイルス感染症による影響も大きかったといえます。

現在でも収束しているといえない状況の中、新型コロナ感染拡大前から経営不振が深刻化していた介護事業所などは、コロナが打撃となり倒産してしまったという例もあります。

クラスターなどの発生が風評被害につながった例や、コロナ感染を不安に感じ、家族が利用者を退所させる例、通所や短期入所などの利用控えなど様々です。

その影響は、いずれも中小・零細企業などが大半を占めています。

倒産と休廃業・解散による市場撤退は、今後も増加することが予想されます。

 

自ら廃業を選ぶ事業所

新型コロナに対応するための緊急融資や給付金などによる支援策はあったとしても、中小・零細企業にとってはざるに水を注ぐようなものです。

いつになればおさまるのかわからないコロナ禍の長期化で、先行きの見通しが立たないことを理由に、廃業や解散といった決断をする介護事業者も増えています。

今後、コロナ禍の支援が何もなく、さらにコロナ禍が長期化すれば、今よりも多くの介護事業所が廃業したり倒産したりということも危惧されます。