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交通事故で介護が必要になったときの損害賠償請求について

2022.12.19
分類:リスク

交通事故に遭い、脳や神経などの器官が損傷したときには、介護が必要になるケースもあります。

この場合、将来の介護費用について損害賠償請求が認められるケースがありますが、どのような場合になのか、その金額について説明していきます。

交通事故で必要となる介護費用

交通事故によるケガなどで介護が必要になるのは、主に次の2つのケースです。

・神経系統の機能や精神の障害が原因

・その他高次脳機能障害が原因

それぞれ説明していきます。

神経系統の機能や精神の障害が原因

神経系統の機能障害は、神経が損傷を受けてしまうことで正しく機能しなくなり、寝たきり状態や半身不随になることです。

精神の障害とは、交通事故による衝撃で精神が崩壊したり認知能力が低下したりなどを意味します。

神経系統の機能障害や精神の障害が著しい場合には、後遺障害等級別表Iの第1級(常に介護を要する状態)または第2級(随時介護を要する状態)の要介護状態となります。

その他高次脳機能障害が原因

後遺障害等級別表Iの第1級または第2級の要介護状態として認定されなかったとしても、定期的に介護を必要とする状態になる場合もあります。

たとえば「高次脳機能障害」などがその例であり、外傷や脳血管の障害で脳が損傷を受けてしまい、行動・言語・注意・記憶・感情などに支障をきたします。

軽度なら日常生活に特に支障はないでしょうが、重度では常時または随時介護を必要とすることがあります。

後遺障害等級認定による介護費用

後遺障害等級別表Iの第1級または第2級は要介護の後遺障害として分類されるため、認定を受ければ慰謝料(3,0004,000万円程度)と介護費用など損害賠償請求できると考えられます。

また、労働能力喪失による逸失利益も請求対象となるため、多くの慰謝料を請求できる可能性もあるでしょう。

なお、後遺障害等級認定で要介護認定を受けることができなかった場合でも、交通事故による負傷で介護費用が発生していれば、不法行為に基づいた損害として賠償請求できると考えられます。

介護費用の金額

交通事故でケガを負ったことが原因で介護が必要になった場合、介護の必要性や誰が介護を担当するかによって1日あたりの介護費用は変わります。

そのため介護費用の損害賠償額は、1日あたりの介護費用を計算することとなるでしょう。

親族が介護を担当するのなら、常時介護が必要なケースで1日あたり9,000円前後、随時介護で1日あたり7,000円前後の介護費用が認められた例があります。

介護士を雇うことが必要な場合には実費全額が損害賠償の対象です。