介護施設で起きる事故で多いのは、転倒・転落・滑落による事故であり、全体の6割以上を占めています。
他にも、誤嚥・誤飲・むせこみなど原因はいろいろですが、介護事故の9割は入所施設で起きています。
その一方で訪問介護の場合、半数以上が訪問先での紛失・破損に関する賠償事故であり、次に多いのは転倒・滑落による事故で、入所施設で起きる事故とは種類が異なります。
来訪時の交通事故やペットとのトラブルなど、人身的な事故ではなく物損的な事故が多いことが特徴です。
そこで、訪問介護で多く発生しがちな事故や、事故を防ぐために求められることについて解説していきます。訪問介護サービスでは、人身事故だけでなく利用者宅での建物や家財に対する損害・破損など物損事故に注意が必要です。
物損事故で利用者がケガを負ったり命に関わったりすることはなくても、重大な事故と捉えておく必要があります。
利用者の大切なものも含め、守ることが介護職員の仕事であり、物損事故でクレームが出れば損害賠償責任を負う可能性もあると理解しておきましょう。
介護現場で最も多いのが転倒・滑落の事故です。
移乗・排泄・入浴など、利用者を介助するときにはいずれも転倒する可能性があると留意しておくべきです。
見守り中や目を離した隙など、手薄になった状況でも発生しやすい事故といえます。
利用者が転倒すると、ケガを負ったり骨折したりしやすいため、合併症や寝たきり状態の要因になりかねません。
介護事故は予測を立てにくいケースもありますが、よく見られる例として、車椅子や介護ベッドなど福祉用具を介した事故です。
たとえば、
・車椅子のフットペダルに足が固定されていなかったため、車体に足が引っかかりケガを負った
・適切でない介護ベッドの高さの設定で移乗時に転落した
などです。
事前の安全確認で防ぐことができる事故であればよいですが、どれほど注意していたとしても完全に防ぐことは不可能と考えておきましょう。
介護事故が起きてしまったときには、まず利用者の安全確保が第一です。
声かけして状態を確認し、救命措置や病院・警察に連絡を入れます。
迅速・適切に対応することが、利用者の被害を最小限に抑えることにつながるといえるでしょう。
そして利用者の家族にも必ず連絡し、事故の経緯や利用者の容態、賠償が必要なときは手続に関する説明など必要です。
連絡が遅くなればなるほどに不信感を与えることになるため、できるだけ早めの対応を心掛けてください。