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介護施設で起きた事故で介護施設が法的責任を追及されるケースとは

2023.01.19
分類:リスク

現在、高齢化が進む日本では介護施設利用者も増加傾向にありますが、身体機能や認知機能が低下しつつある高齢者が生活する施設では、どれほど施設側が注意を払っていても転倒や誤嚥などの事故が起きてしまうこともあります。

介護事故が起きてしまったとき、利用者やその家族は施設側に法的な請求を行うこともありますが、実際に誰がどのような責任を負うことになるのでしょう。

そこで、介護施設で起きた事故で介護事故が法的責任を追及されるケースについて解説していきます。

介護施設で起きた事故の法的責任の所在

介護施設で介護事故が起きたとき、施設側はどのような法的責任を追及されるのか不安になることでしょう。

誰に責任の所在があるかについては、次の責任が関係することになります。

・安全配慮義務違反の有無

・その他法的責任

それぞれ説明していきます。

安全配慮義務違反の有無

介護施設は利用者の安全確保に努める「安全配慮義務」を負いますが、違反したと認められる介護事故があった場合、利用者やその家族は介護施設側に損害賠償責任を追及することになります。

安全配慮義務違反か判断する方法

安全配慮義務違反とは、事故発生を予見でき、事故回避が可能だったはずなのに回避措置を取らなかった場合に該当します。

たとえば転倒事故の場合、利用者が以前も同じ場所で転倒したことがあったのに、同じ場所で再度転倒する危険が予見できたのにもかかわらず、転倒防止策を講じていなかったケースなどです。

しかし介護施設側が通常求められる防止策を取っていた場合や、予測が難しい突発的な事故であれば、安全配慮義務違反に該当しないと考えられるでしょう。

その他法的責任

その他の法的責任として、まず使用者責任が挙げられます。

介護施設で雇用しているスタッフが、故意や過失で介護事故を起こしたときには、スタッフの使用者である介護施設が損害賠償責任を負いますが、これが使用者責任です。

次に、介護施設に備えている設備や構造などを原因とした介護事故が起きるケースもありますが、このときに問題となるのが工作物責任です。

設備が壊れていて修理が必要なのに放置していたケースや、構造に問題があるとわかっていたのに修繕していなかった場合など、通常であれば設備や構造が安全性だった状態を欠いていたことで起きた介護事故なら、介護施設が損害賠償責任を負うことになります。