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介護施設で起きた利用者の飲食中の事故責任は介護事業者にある?

2023.02.13
分類:リスク

介護施設の利用者は、高齢により食べ物を飲み込む力が弱っていることもめずらしくありません。

そのため飲食中に食べ物が詰まってしまう「誤嚥」による事故などのリスクがけっして低いとはいえませんが、食べ物が気管に入ったり喉に詰まったりなどで命を落としてしまう可能性もあります。

そこで、介護施設で起きた利用者の飲食中の事故について、介護事業者が責任を負わなければならないのか解説していきます。

誤嚥で利用者が亡くなったときの責任

介護施設では、利用者の食事中などに誤嚥事故が起きてしまうこともあります。

誤嚥事故は窒息などで死亡してしまうリスクの高いことが特徴であり、誤嚥性肺炎の原因ともなるため注意が必要です。

誤嚥リスクは高齢になるほど高くなり、介護施設の死因でも肺炎による死亡率は高めといえます。

誤嚥で死亡したとき、遺族から責任を追及される可能性もありますが、誤嚥により亡くなったからといって介護事業者側に必ずしも責任があるともいえません。

ただ、深刻な誤嚥事故で利用者が死亡すれば遺族から請求される損害賠償額も高額になりやすく、誤嚥による死亡事故が仮に報道されれば施設の信用は低下してしまい、業績不振に陥るリスクも高くなります。

誤嚥事故で慰謝料が発生するケースとは

誤嚥事故で利用者が亡くなってしまった場合、介護ミスによるものなら遺族から責任を追及されることになるでしょう。

不法行為に基づく慰謝料請求は精神的な苦痛を補填する被害回復の手段であり、利用者やその家族が負った心の痛みを金銭として評価した上で請求されることになります。

請求額は被害の重さに応じて変わりますが、故意または過失があれば高額な金額が請求されます。

介護施設の利用者は高齢のため、誤嚥を起こしやすい状態といえ、介護事業者も食事介助に十分注意が必要であり、その注意を怠れば過失があったと認められやすくなってしまいます。

特に次の2つのケースでは、慰謝料が発生する可能性が高くなるため注意してください。

・病院からの引き継ぎ事項の注意を怠ったケース

・咀嚼しにくい食事を与えたケース

それぞれ簡単に説明します。

病院からの引き継ぎ事項の注意を怠ったケース

利用者が病院から介護施設に移り入所したケースでは、病院からの引き継ぎ事項に十分注意することが必要です。

医師の指示に従わずに不用意な食事介助をしたことによる誤嚥事故が起きれば、介護ミスと認められ責任を追及される可能性が高くなります。

咀嚼しにくい食事を与えたケース

利用者は高齢のため、食べ物を飲み込む力だけでなく、かみ砕くことも難しくなっている場合があります。

そのため咀嚼しにくい食事を利用者に提供していた場合、誤嚥リスクが高くなるため、状況によって介護ミスと判断される可能性が高くなるといえるでしょう。