介護事業所を開業した後で、気にしておきたいのが実地指導です。
実地指導と耳にすると、何か厳しいことを言われたり怒られたりなど、恐怖にも感じてしまう方もいるようですが、実際はそうではありません。
そこで、介護事業所開業後に注意したい実地指導について、監査との違いなど解説していきます。
「実地指導」とは、介護保険法に基づいて行政が介護事業所を訪問し、適切に運営されているか確認することです。
法令違反・運営基準違反・介護請求不正などの有無を確認するために、原則6年に1回の頻度で実施されますが、自治体によっては3年に1度実施するケースもあります。
都道府県などの担当者が直接介護事業所へ出向いて、適正な事業運営を行っているか確認するだけでなく、事業者の育成・支援に主眼を置いた制度管理と保険給付の適正化も目的としています。
実地指導は、「監査」とは異なるものです。
介護事業者の育成・支援が基本である実施指導は、介護サービスの質を確保することや、保険請求を適正に行うことを促すことが目的で実施されています。
監査は、先に行われた実地指導で、人員基準・設備基準・運営基準・介護請求などに不備があったときや、法律違反が疑われるときに実施されます。
実地指導から監査へ移行することが多く、監査の結果、指定取り消しといった行政命令が下されます。
都道府県などの行政指導は、次の2種類があります。
・集団指導(個別指導)
・実地指導
それぞれの行政指導について簡単に説明します。
「集団指導(個別指導)」とは、実地指導の簡易版ともいえます。
介護事業所内の経営者や管理責任者などを集めて、介護保険法に関係する事務処理についてアドバイスをします。
「実地指導」では、介護保険請求を適切に行っているか、人員基準を満たしているかなど確認します。
また、介護記録や計画書などの書類の管理なども確認されますが、実地指導は次の2つの項目に分類されます。
・運営指導
・報酬請求指導
それぞれの項目について説明します。
実地指導のうち「運営指導」は、運営内容の指導を行います。
指導内容は厚生労働省の「運営指導マニュアル」に基づいて実施され、次の2つの項目について指導していきます。
・利用者実態の確認(運営指導Ⅰ)
・サービスの質について確認(運営指導Ⅱ)
実地自動のうち「報酬請求指導」は、不正請求をしていないか確認し、適正な請求へと指導します。