介護施設でもし夜間に火災が発生してしまったら…。介護スタッフが少ない状態の中、身体などが不自由な高齢の方たちは避難することも難しくなってしまいます。
実際、介護施設で死傷者を出した火災などは夜間に起きることが多く、その原因は少数の職員が避難活動をうまくできなかったこととされています。
暗くて見えにくい中、少ない人数のスタッフで、自分だけで動くことのできない利用者や認知症などで危機にある状況を把握できない方などを誘導し避難させることは容易なことはでないからです。
最悪の場合、そのまま取り残されて火災の被害に遭ってしまうことが考えられますので、そのような悲劇にならないためにも介護施設で考えたい火災を防ぐ対応について考えておきましょう。
過去に介護施設で発生した火災などを考慮し、介護施設の火事対策基準も変わっていきました。
主に変わっているのは次に説明する防火管理者の選任義務、そして消防用設備の設置義務です。
防火管理者とは、防火管理業務を行うために管理権原者から選任された方であり、防火管理者資格講習を修了しているなど一定の資格を必要とします。
管理や監督的な立場にある方を選任することになりますが、管理権原者が防火管理者を兼任することも可能です。
管理権原者は防火管理者に消防計画を作成させた上で、次の防火管理業務を指示します。
・消防計画作成と届出
・消火や通報、および避難訓練の実施
・消防用設備などの点検と整備
・火気使用または取り扱いに関する監督
・避難または防火上必要とされる構造や設備の維持管理
・収容人員の管理
・その他、防火管理上、必要とされる業務
まず自動火災報知設備と火災通報装置、消火器の設置はどの施設でも必要です。
さらに延べ面積が275㎡以上の施設の場合はスプリンクラー設備も設置しなければなりませんが、延べ面積が1,000㎡未満であれば水道を利用して特定施設水道連結型スプリンクラー設備の設置が可能としています。
また、消防用設備などの設置が義務とされる施設は、面積を問わず消防設備士による施工、消防機関の検査が必要です。
火事がもし起こってしまったら…と考えたとき、突然のことで普段のような冷静な対応が可能になるとも限りません。
ただ、日頃から避難訓練を行っていれば、たとえ現場がパニックに陥ってしまったとしても避難経路を確保し、要介護者に対して避難する方法を模索しながら、夜勤中でも対応できるようになるでしょう。
そのためにも避難計画を事前にたて、一定期間ごとに避難訓練を行うことが大切です。