もし介護現場で事故が起きてしまった場合には、入所者や利用者の生命にもかかわることになるため適切な対処が求められますが、何よりも事故が起きないように予防に努めることが必要です。
事故として報告されている内容の8割はベッドや車いすなどからの転落事故で、さらに立ち上がりや歩行中に転倒してしまうといったことも多いようです。
他にも喉に食べ物を詰まらせる、誤嚥による肺炎の併発、体位交換の際に介助方法が間違っていたことによる骨折や皮膚への損傷といったものもみられます。
介護施設で起きる事故を防ぐためには、それぞれのスタッフの力量だけに頼るのみのリスク管理では不安です。
それぞれが現場で主人公であるというシステムをつくり、なぜ事故を防止することが必要なのか前向きに必要性を感じられる環境を整備することが求められるでしょう。
そこで、具体的に何を行えばよいか、日々介護を行う上で発生するリスクが事故に繋がらないために必要なことを探ることが必要です。
すでに起きた事故やヒヤっとしたりハッと感じたりというヒヤリハットの事例を洗い出し、検証を重ねるといった仕組みを作ることがその第一歩となるはずです。
実際に事故が起きてしまった時には、まずは利用者の生命や財産の保持が最優先されます。
ただ、起きてしまった事故には対処できたとしても、また同じことを繰り返さないことを目的とした対処は後回しになってしまっていることも多いようです。
同じ事故が続いてしまうのは、起きた事故やヒヤリハットの背景にあるリスクをそのままにしているからと考えるべきでしょう。
事故を発生させる要因となる芽をつんでいくことが、介護施設内で起きる事故防止に繋がるはずです。
高齢で寝たきりの方などが介助中に骨折してしまうことも注意しておく必要があります。どれほど丁寧に介助していても、骨粗鬆症の方など骨がもろくなっていて、防ぐことができない骨折事故もあるかもしれません。
しかし、このような場合でもどのように骨折してしまったのか説明できないのでは、本人やその家族を納得させることはできないでしょう。
どのような場面で骨折したのかわからなければ、次にまた同じ事故が起きる可能性も高くなります。
事故は発生させないことが前提ですが、万一起きてしまったときにはその原因を究明し、再発防止策に繋げるといったことが重要です。