介護施設で生活する利用者の中には、歩行や姿勢保持を困難とする方もいます。そのような方たちは、日々車いすを使うことになりますが、使用の際には十分安全に配慮しなければならず、ブレーキのかけ忘れなどに注意が必要となります。
介護現場では様々な場面で、一歩間違えば事故につながった可能性のあるヒヤリ・ハットを経験することもあるでしょう。
たとえば利用者の移動介助の際、車いすのブレーキがかかっておらず、利用者が転倒しそうになったという事例などもヒヤリ・ハットとして挙げられます。
介護現場で多くみられる事例であり、トラブルを防ぐためにも移動介助を行うスタッフは、車いすを停止させる位置でブレーキを確認しておくことが必要です。
車いすを利用するときには安全確認が必要となりますし、定期的なメンテナンスも重要です。
車いすを点検するときには、主に次の項目を確認するようにしましょう。
・ブレーキやストッパーなど正常に作動しているか
・タイヤには空気が十分に入っているか
・スムーズに車輪が動いており、まっすぐ進むか
・足を乗せるフットサポートの上げ下げが可能か
・シートにたわみはないか
・ネジがゆるんでいないか
・全体的にがたついていたり異音がしたりしていないか
・破損している部分はないか
車いすの移動介助の方法をまず確認しておきましょう。
移動介助で車いすを押すときには、車いすの真後ろに介助者が立ち、両手でしかりとグリップを握ります。車いすに乗っている利用者には肘掛け(アームサポート)を握ってもらい、ふっとサポートに足を乗せてもらいましょう。
車いすを動かすときには必ず声をかけるようにし、ゆっくり押して移動します。
ブレーキをかけるときには、車いすの側面もしくは後方に介助者が立つようにし、片方の手はグリップ、もう片方はブレーキをしっかりかけるようにしてください。反対側のブレーキもかけます。
車いすでの急発進・急停止・急カーブは絶対にやめましょう。
停止させるときや車いすから離れる場合には、少しの間だとしてもブレーキは必ずかけておくようにします。
車いすによる移動は、利用者にとっても不安を感じる部分でもあります。介助者には平らでそれほど凹凸がないと感じる道でも、車いすに乗っている利用者は振動やスピードなどを感じやすくなるといえるでしょう。
介助されている方の立場になって、声かけをしながらゆっくりと移動することが大切です。